選択的夫婦別姓が正式に法制化されたら、子どもの姓はどうなるの? 同姓婚してるけど別姓婚に変えられるの? 別姓婚が認められたら、子どもがかわいそうなんじゃないの?
近い将来、選択的夫婦別姓が実現すれば、変わるものや変わらないもの、変えなくてはいけないものって色々あると思うけど、色々ありすぎてよく分からない。
そんな疑問にお答えすべく、今まで様々な立場の方から実際に頂いた疑問や個人的見解に対して、当アクションが考えるお答えを用意しました。
中には、本当にこんな質問された方いるの? と思うような質問も受けてきました。その一つひとつの質問に対して、我々は時に真摯に、ときに皮肉交じりにお答えして選択的夫婦別姓に対して反対の考えを持っていた方々の意見を賛成に変え、あるいは賛成頂けなくても、理解頂けるように説明を尽くしてきました。その成果が可決された意見書の数で現れています。
この蓄積を当アクションのメンバーだけの秘密とするのはもったいない。ということで、ここで過去の質問に対する回答を一挙大公開いたします。
- 子どもに関する質問
- 家族・夫婦のあり方についての質問
- 同姓でないと家族の一体感や絆が損なわれるのでは?
- 改姓は「結婚への意気込み」であるから、改姓するのが当たり前だと思う
- ある程度制約があるのは当然ではないか?
- そもそも改姓したくない気持ちがわからない
- 配偶者間での相続時、姓が違うことに違和感がある。配偶者という横関係で、別姓の相手に相続権があるのは「おかしい」
- 家族の中で姓がバラバラだと個人的に違和感がある
- 自分は改姓したことがある。改姓させられて嫌だったがそれでもできたし耐えてきた。私にできたことがなぜできないのか?
- 名前を変えたくないとか変更手続きが煩雑だなんて、単にわがままなだけ。今までみんな耐えてきたんだから
- 選択制だといろんな選択が増えるから、それで破局するカップルも増えるのでは?
- 選択肢が増えると、話し合うことが増えてしまうのでは?
- 離婚が増えるのでは?
- 別姓を認めることにより差別が起こるのでは?
- 現在は同姓でしか結婚できないと決まっているのだから、同姓にしないで事実婚を選んだ夫婦が不利益を被っても自業自得では?
- 同姓でないと「家」を守れないのでは?
- 姓を変えるのがいやなら結婚しなければいい
- 親の意見ばかりで子どもの都合が考えられていない!
- 子どもの殺人事件等の解説を聞くと、離婚ということで、パートナーとの事実婚に起因した虐待、殺人等が非常にニュースで目につくため、安易な選択的夫婦別姓の導入により犯罪が増えると心配している
- 民法・戸籍などの法律や制度・運用に関する質問
- 旧姓使用に関する質問
- 制度化された場合に起こりうる事象についての質問
- 歴史・文化に関する質問
- 家族の根幹に関わる問題なので時間をかけて慎重に審議すべきで、時期尚早なのでは?
- 日本の伝統である戸籍を守るために、同姓を強要する必要がある
- 日本では昔から全国的に一律で同姓の制度があったのでは?
- 日本の家族制度は単一で不変のもの。それこそが日本の伝統であり、文化だ
- 長男が跡継ぎとして残り、両親と同居する「三世代同居」こそが日本の残すべき伝統と文化だ
- 家族制度はなくなったというが、なくしたこと自体が問題だ
- 女系天皇に繋がるのでは? 皇室を撤廃するつもりなのでは?
- 日本文化は大事。日本だけ違ってもよい。女性の姓にすることもできるから反対
- 中国や韓国は女性に男性の苗字を名乗らせないために夫婦別姓である。つまり別姓のほうがひどい男女差別の現れではないか?
- その他
- 陳情アクションの活動についての質問
- 陳情についての質問
- Q:陳情の締め切りはいつですか?
- Q:初めての陳情で不安です。どんなことを書けばいいですか?
- Q:確実に議会で議論してもらえるコツはありますか?
- Q:以前「選択的夫婦別姓に関する陳情が不採択となった自治体」「選択的夫婦別姓導入に『反対』の意見書がすでに出た自治体」ですが、陳情を出すことはできますか?
- Q:陳情書に書く氏名・住所は公開されますか?
- Q:陳情はグループでやったほうがいいですか?名称も入れるべきですか?
- Q:公務員でも陳情できますか?
- Q:都道府県議会と市町村議会、両方陳情できますか?
- Q:「住んでいる自治体」「働いている自治体」に両方陳情できますか?
- Q:陳情活動には費用がかかりますか?
- Q:意見書の可決には「陳情」以外に方法がありますか?
- Q:待っていたらそのうち国会で議論してもらえるのでは…。
子どもに関する質問
子どもの姓はどうなるの?
1996年(平成8年)にあった法制審議会の答申では、「子どもは結婚時に決めた筆頭者の名前で統一される」と決まっていました。
結婚時に筆頭者が決まるので、その時点で子どもの姓も決まります。いま現在と、決め方もタイミングも全く同じです。
公明党や野党案では、子どもが生まれるたびにどちらの姓にするかを決めるという案です。(関係法令の改正点が増える)
それぞれの姓を子どもに受け継がせたいと考えているカップル、離婚再婚があっても子どもの氏を無理に変えずに家族戸籍に入れたい方は、こちらの案を望んでいます。
選択的夫婦別姓を求める声の本質は自分が自分の姓で生きたいとの考え方ですので、子どもについては最初に決まった氏であれば自分と違っていても構わないと多くの方は考えています。また、子どもは親の持ち物ではありません。親の離婚再婚などで無理に改姓を強いられることのないような法改正を望んでいます。
子どもの姓が親と違うとかわいそうでは?
選択的夫婦別姓が制度化されて別姓夫婦が誕生すれば、子どもは生まれてからずっと別姓の両親とともに暮らしていきますので、異なる姓の家族がいることを当たり前と思って成長していきます。ですから子どもが自分の姓と片方の親の姓が違うことに悩みを抱えるといったことは起きえません。
家族はみな同じ姓であることが当然と思っていれば、姓が違う=家族ではない・仲間外れであると感じて「かわいそう」という感慨を持たれるかもしれませんが、別姓が選べることが当たり前な世の中であれば、姓が違っても家族であることに疑いを持つことはありません。
「子どもが孤独感を感じるのでは?」と思われる方もいるようですが、生まれてからずっと別姓が当たり前と思って育ってきている子どもが、突然孤独感に襲われるなどといったことはありえません。
また、日本以外の国では選択的夫婦別姓が認められており、親と子で姓が違うことも当たり前ですが、問題は起きていません。
子どもがいじめられるのでは?
別姓を理由に子どもがいじめられるようなことはほとんど聞いたことがありません。
万一別姓が理由で子どもがいじめにあうのであれば、そのような社会は多様性や差異を尊重する社会を否定する社会になります。かつ、法律婚の枠組みから別姓を望むカップルを弾き出す今の法律こそ、親の姓が異なることをいじめの理由にしていいというメッセージを子どもたちに向けて発信しているのではないでしょうか。
別姓であることや差異があることが当たり前であるとの認識が共有されていることが「多様性や差異を尊重する社会」であり、それはSDGs(※参照)の掲げている未来でもあります。
その一つとして選択的夫婦別姓の法制化が必要です。世界でも同姓を強要しているのは日本だけなので、そんな国がSDGsを推進する国とはとても言えません。
※SDGsとは? SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。SDGs(エス・ディー・ジーズ)と発音します。
SDGsは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。
SDGsの理念は「誰ひとり取り残さない」社会の実現です。
17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されています。
その中の5番目に「ジェンダー平等を実現しよう」という項目があります。選択的夫婦別姓はまさに「ジェンダー平等を実現」させるために必要な制度なのです。
親が離婚・再婚したときには、子どもの姓はどうなるの?
現在の民法では同一戸籍の中に別姓の家族を入れることは許容されていないため、離婚前に戸籍筆頭者でなかった親が子どもを引き取りその後再婚した場合、子どもを同じ戸籍に入れようとすれば2度(離婚時に親の旧姓に変わり、再婚時の親の姓にまた変える)氏を変える必要があります。
選択的夫婦別姓を導入することで同一戸籍の中に別姓の家族を入れることが許容されれば、離婚、再婚があった場合でも子どもの氏を変更する必要がなくなり、子どものアイデンティティを保持することにもなります。
親と子で姓が異なることになるのは子どもにとって好ましくないのでは?
そのように思われる方は夫婦同姓を選択されます。
法的な根拠があれば、親と子で姓が違っていても生活・教育上なんら問題はありません。実際に法的な根拠がない事実婚のお子さんも自身の家庭にはなんら問題を感じていません。唯一問題があると感じていることは、法律が両親や彼ら家族の関係を守ってくれていないということです。
世論調査では、夫婦別姓が子どもにとって好ましくないと思うという回答が6割を超えていると聞いているが?
この世論調査は事実です。現在の日本において、そのような調査結果が出ていることは残念に思います。
なぜなら、この世論調査の結果の背景には、国際結婚で元々別姓の家庭・離婚により親子別姓となっている家庭・現在訴訟にある子連れ再婚家庭など現に存在する別姓家庭に対する強い偏見と差別が見え隠れしているからです。
選択的夫婦別姓の法制化、そしてSDGs推進によって意識を変え、そのような差別意識をなくしていかなければならないと考えています。
親が別姓になると子どもが自分の姓を選べない
夫婦が強制的に同姓となっている現在でも子どもは自分で姓を選ぶことはできません。
別姓だからといって、子どもが姓を選ぶ必要はありません。
また、現在でも離婚で親の姓が別々になった場合、15歳になれば家庭裁判所経由で離婚した両親の別の姓に改姓することは可能です。
選択的夫婦別姓の場合でも、同様に大人になれば姓を選べるようになると思われます。
子どもが大人になったときに、自分でどちらの姓を名乗るかを選びたいと言い出すのでは?
現在の法律でもすでにそのようなことは可能です。
両親が離婚して別姓となっている場合、15歳になれば家庭裁判所経由で別の姓(離婚した両親の別の姓)を名乗ることができます。
家族・夫婦のあり方についての質問
同姓でないと家族の一体感や絆が損なわれるのでは?
夫婦別姓が認められていない国は世界で日本だけです。
日本以外の国で夫婦別姓のために一体感がなくなって離婚を招くといった問題は起きていません。
また、2017年(平成29年)12月の内閣府の世論調査によると、「一体感(きずな)が弱まると思う」との答えが31.5%、「一体感(きずな)には問題がないと思う」との答えが64.3%です。
家族の絆が弱まると考える方は夫婦同姓を選べますので、全体としては全く問題は起きません。
改姓は「結婚への意気込み」であるから、改姓するのが当たり前だと思う
そう思われるのは、結婚とは「嫁に入る」とか「婿養子を取る」ことであるといった家制度の名残からくる思いなのではないでしょうか。
家制度は1947年(昭和22年)に廃止されていますので、そのような考え方は相手に対しての差別と受け取られてしまいます。
また、改姓が結婚への意気込みと考えるのであれば、非改姓側には意気込みがないということになります。夫婦となる二人のうち片方のみが意気込みを問われるのは平等とは言えません。
ある程度制約があるのは当然ではないか?
結婚というシステムに平等性に欠けるような制約があってはいけないのではないでしょうか?
結婚というのは二人の個人が互いを理解して人生を共にすると決めることですので、相手の考えを尊重しようとすれば自分の思い通りに行かない部分が出てくることは避けられません。しかし、姓の選択に関しては、96%のカップルが男性の姓に改姓している現状があります。これでは平等性に欠ける一方的な制約といわざるを得ません。
そもそも改姓したくない気持ちがわからない
現在は多様性を認める時代です。共感はできなくとも、そのように考える相手の気持ちを尊重することが大切なことではないでしょうか。
自分の考えを相手に強制してはならない・相手の気持ちを思いやれることが素晴らしいというのは、現在道徳の授業などを通じても子どもたちに対して教育されていることと思います。その美徳を、大人たちが実践して見せるのも将来を担う子どもたちへの大切な教育の一つです。
また、未婚あるいは自分の姓で結婚したために改姓したことがないからその気持ちが分からないという方も、一度ご自身が改姓することを想定してみてはいかがでしょうか。少しでも嫌だという気持ちがあれば、相手も同じ気持ちを抱くかもしれないということは容易に想像できるかと思われます。
配偶者間での相続時、姓が違うことに違和感がある。配偶者という横関係で、別姓の相手に相続権があるのは「おかしい」
あくまでも相続権は法律上の関係性であり、姓は関係ありません。
単なる慣習でおかしいと考えられているだけではないでしょうか。
家族の中で姓がバラバラだと個人的に違和感がある
そのようにお考えになる方がいることは承知しております。
選択制ですので、互いにそう思うカップルは同姓婚を選ばれると思います。
家族が別姓であることに違和感を覚えるからといって、なぜすべてのカップルが家族は同姓であるべきだという個人的な考えに合わせなくてはならないのでしょうか。
自分は改姓したことがある。改姓させられて嫌だったがそれでもできたし耐えてきた。私にできたことがなぜできないのか?
ご自身が改姓することが嫌だったのであれば、なおさら嫌な人の気持ちがお分かりいただけていると思います。
それを「自分はできた。改姓が嫌だなどもってのほか」と考えられるのはなぜでしょうか。
自身が嫌であったことを、今後他の人には経験させないようにすることが社会をよりよくしていくために大切なことではないでしょうか。
名前を変えたくないとか変更手続きが煩雑だなんて、単にわがままなだけ。今までみんな耐えてきたんだから
いままでそれできたんだから今後も同じように我慢しろ、法改正など必要ないというのであれば、議会は何のためにあるのでしょうか。
時代に合わせて、国民や県民・市民のニーズに合わせて、できるだけ平等にすべての人が幸せに生活できるよう、話し合い、法律を変えていくのが議会の担う役割なのではないでしょうか。
選択制だといろんな選択が増えるから、それで破局するカップルも増えるのでは?
選択肢が増えることでトラブルになるのであれば、お互いにじっくり話し合って決めていただければよいのではないでしょうか。
逆に選択肢がないために破局したカップルも存在しています。
このようなカップルは、選択肢があれば破局せずに結婚する・婚姻関係を継続することができていました。
選択肢が増えるということに利益はあっても、不利益になることはありません。
選択肢が増えると、話し合うことが増えてしまうのでは?
結婚前に話し合うことは大切なことだと思います。
話し合うことが増えるのはよいことではないでしょうか。
話し合わない方が美徳だなどということはありませんよね。
離婚が増えるのでは?
すでに別姓が認められている日本以外の国において、同姓の夫婦と比較して別姓の夫婦の方が離婚が多いといったデータはありません。
そもそも、お互いに別姓でいたいというカップルが、別姓であることが理由で離婚をするということはありえません。
別姓を認めることにより差別が起こるのでは?
日本以外の国では選択的夫婦別姓を認めることによりそのような差別が新しく発生したという事例はありません。
たしかに現在の社会において、別姓に対しての差別意識は現実に存在しています。
しかし、これらの事象は別姓に対して差別意識を持つ人がいることのほうが間違っているのであり、別姓で家庭を営んでいることが間違っているのではありません。
繰り返しますが日本に暮らす家族の大部分を占める日本人同士の結婚において同姓であることが法律で強要されているために、別姓であること(国際結婚の家庭や離婚による親子別姓の家庭、現在訴訟にある子連れ再婚家庭など)に対して偏見と差別が発生しています。
選択的夫婦別姓を法制化することにより、別姓であっても家族として何ら問題がないという当たり前の認識を共有できる社会にして、別姓家族への差別をなくしていくことこそが大切なのではないでしょうか。
現在は同姓でしか結婚できないと決まっているのだから、同姓にしないで事実婚を選んだ夫婦が不利益を被っても自業自得では?
女性の社会進出が進み多様性を求められる現代社会で、現在の法律では対応しきれなくなってきている現状が明らかに存在しています。選択的夫婦別姓の問題もその一つです。
現在のニーズに合っていない法律と現実の状況の板挟みになり、現実を優先させて法律の保護を諦めた人が不利益を被って生活していくのは不幸なことであり、法律の不足です。
同姓でないと「家」を守れないのでは?
全く逆です。現在は少子化が進んでいることもあり、一人っ子の結婚に伴う改姓により氏の継承が途絶えるということも起きています。氏の数が減ったために、途絶えてしまう家名も出てきます。
別姓を認めることで家名の減少を食い止めることが出来ますので、家を守ることにこだわりを持っている方も家名を残すことが可能になります。
姓を変えるのがいやなら結婚しなければいい
憲法上、婚姻の自由が基本的人権であることは明白です(憲法24条1項)。
この質問は、基本的人権を享受しなければいいではないか、と答えたことを意味します。
憲法が基本的人権を保障していることは、『多数決では奪うことができないものがある。それが人権である』という理念を保障したことを意味します。
国会議員に求められていることは、多数決で決めた一定の価値観を全国民に義務づけることではなく、国民の間で多様化している家族観に適合した多様な選択肢を有する法律制度を構築することです(憲法24条2項)。また、国民には憲法に記載された自分たちの権利を守るための「不断の努力」が求められています(憲法12条)。
親の意見ばかりで子どもの都合が考えられていない!
両親が別姓であることそのものによって子どもが困ることがないのは、現在でも事実婚の子どもの声を聞けば明らかです。
子どもたちが心配しているのは、親たちの関係が法律に守られていないことです。選択的夫婦別姓を法制化して、子どもを安心させてあげてください。
子どもの殺人事件等の解説を聞くと、離婚ということで、パートナーとの事実婚に起因した虐待、殺人等が非常にニュースで目につくため、安易な選択的夫婦別姓の導入により犯罪が増えると心配している
まったく根拠のない偏見です。「一人の人間が生まれ持った氏名で結婚することで、離婚や子の殺人などの犯罪が増えた国」はなく、そのような犯罪と姓との因果関係を示すデータも存在していません。
むしろ、完全夫婦別姓のケベック州と、夫婦同姓・別姓が選択できる他州が共存するカナダの2017年犯罪発生率を比較すると、人口10万人あたりの殺人発生率はケベック州1.1/カナダ全体1.8(なおアメリカは5.4)となり、カナダ全体よりもその部分集合であるケベック州の方が殺人発生率は低いのです。
あるいは1985年に選択制に切り替えたフィンランドでは、33年間ネガティブな影響がなかったために、2018年、さらに複合姓・創姓・事実婚夫婦の同姓なども認め家族の姓の多様化をいっそう推し進めた「姓名法」を施行しています。
もしも夫婦別姓と犯罪率に因果関係が証明されているなら、各国で夫婦別姓という選択肢を法制化するはずがありません。
また、離婚率との因果関係についても、夫婦同姓が強制されている現在においても3組に1組が離婚しています。かつ、もし改姓の大変さが離婚を踏みとどまらせていると考えているのなら、改姓という外圧によって人生をリセットするのを難しくして破綻した結婚生活を続けさせることを推奨していることになります。
破綻した結婚にしがみつく必要がない国、性別を問わず自立した人生を歩める国のほうが健全であることは自明です。
民法・戸籍などの法律や制度・運用に関する質問
そもそも名字って何?
1947年家制度は廃止されました。「家」という法的概念がすでに存在しない以上、現在の民法上では、名字は「家名」ではなく「個人を表すもの」です。 実際に「氏名は人が個人として尊重される基礎であり、その個人の人格の象徴である」とした最高裁1988年2月16日判決が出ています。 一方で、名字を「家名」と「思う」からこそ、改姓せずに守り、継承したいというのもまた、尊重されるべき個人の意向です。
日弁連の声明や解説に詳しく書かれていますのでご参照ください。
導入にはたくさんのシステムの変更が必要では?
1996年(平成8年)の法制審議会の答申を受けて、現在の戸籍システムは夫婦別姓で管理できるようになっており、システムの変更はほとんど必要ありません。
子どもの氏についても、「子どもは筆頭者の名前で統一される」とされていますので、筆頭者の名前を確認するだけでよい仕様となっています。
戸籍システムの改修に時間や税金がかかるのでは?
逆です。現在、一人の人間に複数の姓を公称できるかのように旧姓使用・旧姓併記に対応するほうがよほど税金がかかっています。
戸籍システムは、1996年(平成8年)の法制審議会の答申を受けて、すでに夫婦別姓で戸籍を管理できるような仕様になっていると思われます。システム仕様書を見ると、軽微な設定変更で同姓夫婦・別姓夫婦のどちらにも対応できることが確認できます。実際、国会質疑で法務省から別姓夫婦の戸籍謄本案が提示されていますが、現在のものとほぼ変わりません。質問者である国重とおる議員のサイトでその書式を見ることができます。1997年(平成9年)6月11日の国会法務委員会第十号答申B案(民法改正案)の答弁でも、導入にはそれほどコストがかからない旨が述べられています。
しかし、選択的夫婦別姓があれば本来不要であったはずの「旧姓併記」に、住民票・マイナンバー等のシステム改修費だけでも国庫から莫大な税金が投入されている問題が、現在進行中の裁判でも指摘されています。
一方、現在は離婚などで氏を変更する場合においてワンストップでは手続きができず、個別で多岐に渡る手続きと対応が求められるため、行政の側においてかなり煩雑な労力を必要とします。これらは離婚する夫婦のうち何割かが結婚時に別姓を選択できていれば、避けられたコストなのです。
夫婦別姓にしたい人と同姓にしたい人とは結婚できないんじゃないか
別姓の選択を可能にすることによって結婚できないカップルが増加するという意味でしたら明白に間違っています。現在でもカップルのどちらか片方が別姓にしたいと思ったら結婚できません。それに加えて現在は、「両方が別姓(姓を変えない)でいたいカップル」も結婚できていませんので、別姓の選択肢を用意すれば結婚できるカップルは増えます。
また、別姓か同姓かの意見が割れることで結婚できなくなるという意味でしたら、法律によって同姓を強制することで結婚を望むカップルの片方の希望を封じる制度がよいものであるとは言えません。
なお、現行の夫婦同姓を義務付ける法律下では、姓を変えたくない人と同じにしたい人とのカップルは結婚できます。同姓にしたいと思う方が改姓すればいいだけのことです。
改姓を双方が避けたいのであれば、今は結婚できません。ですので、我々は選択的夫婦別姓を法制化することで、このようなカップルが結婚できるようにしたいと考えております。
同姓でないと、一緒にお墓に入れないのでは?
現在、「墓地、埋葬等に関する法律」(墓埋法)ではこのように定められています。
第十三条 墓地、納骨堂又は火葬場の管理者は、埋葬、埋蔵、収蔵又は火葬の求めを受けたときは、正当の理由がなければこれを拒んではならない。
別姓であれ同姓であれ、誰を一緒に埋葬するかの制限に関する法律はありません。宗教上も定めがありません。もともと日本は別姓の国でしたし、お墓は永代使用権者が認めれば、誰が同じ墓に入ろうと法律上の規制はありません。実際に、身寄りのない従業員が亡くなった時、社長が実家から受け継いだ墓に入れるといったことも行われています。
家族墓が一般化したのは近代以降です。それまでは土葬でもあり、現在のような骨壺をカロートに入れて、角柱の墓石を建てて○○家と刻む「カロート式家墓」が普及してからはまだ100年も経っていません。
もし墓地の管理者に、名字が違うことを理由に納骨を拒否された場合はどうなるでしょうか。多くのお寺や墓地では、埋葬者の範囲を規定しています。その中には「苗字が同じ人のみ」「親族3親等以内」などの規定がある場合もまれにあります。先述の通り永代使用権者が認めれば墓に入れることができますので、墓地や寺との相談になります。
少子化が進む中、墓を継承・維持する負担から樹木葬や散骨といった新しい弔い方が広まり、「両家墓」も一般化しています。墓地からしてみれば永代供養者が求めているのにもかかわらず頑なに「別姓の人はだめ」と拒むことで、墓という弔い方を選択する人は減るので、断ることは考えづらいです。
現在の同姓の制度でも夫姓も妻姓も選べるから問題ないのでは?
制度上はどちらでも選べることになっていますが、現実は96%が夫姓で婚姻届を出しています。
この中には、やむなく夫姓を選んで結婚された女性が多数含まれます。
また逆に妻姓を選んだカップルは世間から偏見の目で見られることが頻繁に起きています。
このような現実から鑑みれば、問題は存在しています。
そんなに別姓にしたければ、事実婚でよいのでは?
事実婚では法的な優遇措置や、行政サービス(相続税、配偶者控除、配偶者特別控除、離婚時の年金分割、子の戸籍で父親の欄が空欄になる(非嫡出子)など)を受けられず、不利益を被ります。
また、夫婦名義でローンが組めない場合や共同親権が認められない、手術に立ち会えない、介護施設に夫婦として入居できないといった問題も実際に起きています。
マイナンバー制度があるので、戸籍法を廃止すればよいのでは?
戸籍を維持しているのも日本だけですので、戸籍を維持していくかどうかは別途議論の余地はあると思います。
ただ、我々は戸籍法についてどうこう議論して欲しいわけではなく、夫婦別姓を認めて欲しいだけです。
戸籍法を変えたいってことなの?
いいえ、我々は戸籍法を変えたいだとか、戸籍の制度を廃止して欲しいと訴えているわけではありません。まったく別議論です。
あくまでも、民法上で夫婦が生まれ持った氏名で結婚し、法的な家族でいられるようにして欲しいだけです。
夫婦別姓の場合はどのように夫婦や家族であることを証明するのか?
法改正後は、別姓家族も同戸籍になれるのですから、これまでと同じく戸籍謄本で証明できます。
今でも親と改姓した子どもで名字が違うことはあります。
国際結婚の家庭(元々別姓)、離婚により親子別姓となっている家庭や、現在訴訟にある子連れ再婚家庭では、名字が違っていても夫婦、家族です。
そもそも夫婦や親子が同姓であればそれで夫婦や親子であるとの証明にはなりません。同じ姓であっても、手術の立会いなど公的な証明が必要な場合にはそれに適した書類の提出が求められます。
また、法的な夫婦であることや親子であることを普段の生活の中で人に向かって証明する必要などありませんし、口頭で「夫婦です」、「親子です」と言えば問題ありません。どうしても必要であれば、身分証の住所が同じであるなどで証明できる場合もあると思います。
同姓かどうかを夫婦や家族であることの判断基準として扱って後から問題になるような場面があるとすれば、それは状況に応じた適切な身分確認ができていないためにほかなりません。別姓夫婦の存在が当然のものとなれば、こうした場面で姓をあてにすることが減り、むしろ判断ミスが減らせるのではないでしょうか。
旧姓使用に関する質問
旧姓使用が広く認められているからそれでよいのでは?
旧姓が使える範囲は限られています。銀行口座を作れない銀行も多数あります。携帯電話や賃貸借契約では戸籍名でなければ契約できない場合もあります。行政においても、担当者自身が判断できないため、念のため戸籍名でといった対応を取られることもあります。
旧姓が使える国は日本以外にないため、海外では旧姓併記がダブルネームと捉えられるため、問題になることがすでに多く起こっています。
また、外務省が犯罪利用の可能性があることを認めています。
法改正しなくても旧姓通称使用の拡大で問題ないのでは?
旧姓通称使用のためのシステム改修費に、すでに税金が200億円近く使われています。一方戸籍は別姓での管理が可能なシステムが1996年(平成8年)の時点ですでに出来上がっていますので、システムの改修費に莫大な税金が使われることはありません。
旧姓通称使用をさらに拡大していくと、他にも莫大なシステムの改修費が必要になります。
行政のみならず、民間の企業においても、同様に莫大な費用が必要です。政府が旧姓通称の使用を認めるよう通達を出していますが、改修の費用に見合わないとの理由で旧姓通称の使用を認めていない銀行などは存在しています。
旧姓通称制度に法律的な根拠を持たせるような変更であればよいのでは?
旧姓通称は海外では一般的ではないため、仕事などをはじめ、多くの場面で混乱を招いています。
海外で旧姓を使用したためにパスポートを没収させられたなどの事例が現在も起きていますが、国内において法的な根拠を持たせたからといって、民間企業で仕事上使っている旧姓とパスポートに記載されている戸籍姓と旧姓の2つの姓を見て、問題がないと思ってもらえるとは限りません。
日本の特殊な事情などは海外の個々の企業には当然知る由もありませんので、現在でも都度担当者に事情を説明する必要がありますし、それは旧姓に法的な根拠を与えたとしても今後も継続的に発生することが考えられます。
そもそも旧姓通称の制度に法的な根拠をもたせるよりも、選択的夫婦別姓で別姓に法的な根拠を持たせる方が費用面においても運用面においても問題は少なく済みます。
実際に旧姓はどれぐらい使われているの?
東京目黒区の例ですが、旧姓併記の申し出は、担当の職員の証言では、毎日数人程度が仕事の合間をみて役所に寄られて提出されるとのことです。
目黒区役所職員の旧姓使用人数は125人で男性は1人のみです。
制度化された場合に起こりうる事象についての質問
法制化されて配偶者が「別姓にしたい」といってきたらどうなるのか?
同姓既婚夫婦の復氏への対応については、簡易な届出等で認められるような方策が措置期間としてとられるのではないかと考えられます。
1996年(平成8年)にあった法制審議会の答申では、「経過措置として同姓の夫婦も改正法の施行から1年以内に届け出れば、別姓に変更できる」と決まっていました。
実際に選択的夫婦別姓が法制化に向けて議論される段階で検討されることと思われます。
改姓しなかった側(多くは夫)が、復氏したい側(多くは妻)の復氏に反対した場合はどうなる?
現行法下の今でも『離婚に同意してくれない』ということは起きています。
これと同じことですので、選択的夫婦別姓における問題というよりも、夫婦間の問題と考えられます。
離婚の場合と同様に、夫婦間で話し合われることが必要だと思います。
法制化されて配偶者が「復氏したい」といってきて夫婦仲が悪くなったら責任取れるのか
お互いの夫婦間の揉めごとですので、よく話し合われればと思います。
解決の一つとして提案できるとすれば、以下のような手順を踏んでいただければ、解決できるのではないでしょうか?
例:同姓にこだわる改姓しなかった側(夫)、改姓して復氏したい側(妻)
1. 一旦離婚届けを提出して離婚する。
2. 妻は旧姓に戻す。
3. 同じ相手と再度婚姻届を出す。
4. 婚姻届けを出す時には妻の姓を選ぶ。
そうすれば、妻は復氏の希望を叶えることができると同時に、同姓にこだわる夫の意見も叶えることができます。
歴史・文化に関する質問
家族の根幹に関わる問題なので時間をかけて慎重に審議すべきで、時期尚早なのでは?
この議論は1985年(昭和60年)に日本が女性差別撤廃条約を批准したときから始まっています。
1996年(平成8年)に法制審議会が民法の一部を改正する法律案要綱を答申し、選択的夫婦別姓別氏制度の導入が提言されています。
この答申を受け、法務省が1996年に改正法案を準備しましたが、国会提出には至っておりません。
自民党政権時でありながら、自民党内の「夫婦別姓に反対し、家族の絆を守る国民委員会」などの反対運動により、自民党は国会への法案提出を断念しました。
また、2010年(平成22年)にも前年の政権交代により、選択的夫婦別姓の法制化への期待が高まりました。
しかし、国民新党の反対により閣議決定(全員一致が原則)ができず、実現しませんでした。
1996年時から数えても20年以上経っています。選択的夫婦別姓の議論は実は35年前から行われていることになります。
日本の伝統である戸籍を守るために、同姓を強要する必要がある
同氏同戸籍は1898年(明治31年)以降にドイツから輸入された制度であるので、日本の歴史の長さを考えれば、120年という短い期間をもって伝統といえるようなものではありません。
また、戸籍とは「親族・身分関係について出生から死亡までの変遷を記録する帳簿」であり、「同氏同戸籍」でなければ戸籍としての機能を果たすことが出来ないというわけではありません。
日本では昔から全国的に一律で同姓の制度があったのでは?
そもそも姓は日本固有の文化ではなく、中国からの輸入文化です。
中国古来の慣習に倣って、姓は出身を表すものとして、結婚で姓を変えることはありませんでした。
それが明治の文明開化の一環として、欧米の結婚制度を模して夫婦同姓制度として制定されました。その欧米ではすでに別姓が認められています。
日本の家族制度は単一で不変のもの。それこそが日本の伝統であり、文化だ
家族制度(家制度)は1947年(昭和22年)にすでに廃止されています。
さらに言えば、家制度は、その家に所属する全員が同じ姓を名乗るという制度ですので、なにも夫婦のみが同姓というわけではなかったのです。
そう考えると、厳密に言えば、夫婦同姓は戦後からの制度であるということになるので、日本の伝統とはまったくいえないと思います。
多様化の現代では、家族のあり方もそれぞれです。
現在では、同姓の元で家族は不変のものであるという考えばかりではありません。
新しい考えによる変化を恐れて、現状に甘んじることは日本の伝統ではありません。
積極的に新しい文化を生み出すことこそが日本の伝統なのです。
日本の文化はもともと多様でした。選択的夫婦別姓を法制化することは、日本の文化をさらに豊にするものでこそあれ、日本の文化を脅かすようなものではありません。
長男が跡継ぎとして残り、両親と同居する「三世代同居」こそが日本の残すべき伝統と文化だ
明治時代に現在の同氏同戸籍の制度が整備される前には、さまざまな形態が存在していました。
例えば、日本の西南部では、末息子が家督を相続する「末子相続」が広く見られました。
そのような地域では、「隠居分家」や「別居隠居」といった慣習が見られ、夫婦家族が基本で老親の世帯と子ども夫婦の世帯とを分ける傾向がありました。
それ以外にも、第一子が娘であれば、その娘に家督を継がせる「姉家督」といった制度が東日本では見られました。
そのような事実から、「三世代同居」が日本の伝統と文化とはいえません。
家族制度はなくなったというが、なくしたこと自体が問題だ
家族制度(家制度)は女性の人権を抑圧する、女性差別の制度です。
憲法で、すべての国民に基本的人権は保障されていますが、家制度を必要と考えるということは、憲法で保障されている、基本的人権を蔑ろにするという考えになります。
「家名」を守る、という意味であれば、別姓にすることで、どちらか片方の姓が消滅することを避けられますので、選択的夫婦別姓を法制化することがむしろ「家名」を守ることにつながります。
女系天皇に繋がるのでは? 皇室を撤廃するつもりなのでは?
天皇家はそもそも、氏がありません。国民の姓に関する法律と天皇家の継承に関する法律は全く関係がありませんし、選択的夫婦別姓の法制化と女系天皇が誕生するかどうかはまったく別の話です。
女系天皇を認めるかどうかは同姓婚を希望するのか別姓婚を希望するのかとは別のところでそれぞれがそれぞれの考えを持っていると思いますので、選択的夫婦別姓の法制化との相関性はまったくありません。
日本文化は大事。日本だけ違ってもよい。女性の姓にすることもできるから反対
同氏同戸籍の制度は日本の伝統でも文化でもありません。明治時代に欧米から輸入された制度で、元来日本では別姓で結婚することが当たり前の地域が多く存在していました。
96%のカップルが男性の姓に改姓をしていることからも、女性が結婚のために、無理に改姓を強いられていることは明らかです。
また、日本だけ違ってもよいとの考えについてですが、日本は1985年(昭和60年)に女性差別撤廃条約を批准しています。その後、選択的夫婦別姓制度を法制化していないために、国連から2003年、09年、19年と三度の是正勧告を受けています。女性差別撤廃条約を批准している日本が国連の勧告を無視し続けてもよいはずがありません。何のために日本は女性差別撤廃条約を批准したのでしょうか。
中国や韓国は女性に男性の苗字を名乗らせないために夫婦別姓である。つまり別姓のほうがひどい男女差別の現れではないか?
全くの誤りです。日本ももともと大陸から大きな影響を受けた東アジア圏の国ですが、歴史上これらの国は父系氏族社会という共通の背景を持っていたため夫婦別姓でした。
日本がこの枠組みを外れたのは1898年(明治31年)になってからで、差別的な家父長制の「家制度」を補強するため、当時のドイツの法律にならって導入したのが夫婦同姓です。
その他
選択的夫婦別姓を急に決めたら混乱するのでは?
国民全体の約7割、結婚する人が最も多い30代の8割が選択的夫婦別姓制度に賛成または容認しています。
これらの世代の方々においてはそこまで混乱はないと思われます。
また、経過措置も最低でも1年ほどは取られると思います。
世論調査の「法制化しても利用する人は少ない」との結果もあるが?
世論調査の結果では夫婦別姓を希望する人の割合は19.8%です。
これを少ないと言って切り捨ててしまってよいのでしょうか? 5人に1人の割合で別姓であることを望んでいるにもかかわらず、この方たちの希望が現在の法律では聞き入れてもらうことができません。この20%の人たちの希望を聞き入れることで、別姓を希望しない80%の人に不利益が生まれるわけではありません。そうであれば、たとえ20%であっても聞き入れる社会こそが多様性を認める社会、SDGsが求める誰ひとり取り残さない社会の実現に繋がるのではないでしょうか。
選択的夫婦別姓を望む声は聞いたことがない
最新の世論調査(令和2年2月10日)では69%が選択的夫婦別姓に賛成しています。また、実際に制度が法制化されれば、少なくとも2割のカップルは別姓での結婚を希望しているという世論調査の事実もあります。別姓を求めて裁判を起こしている方もいます。
ご自身の周りの声がすべてではありません。
必要としているのは医者や弁護士ばかりで、普通の人にはいない
仕事上の必要性から別姓を望んでいる方ももちろんいます。
しかし、別姓を望んでいる方の多くは仕事とは関係のない部分で別姓を望んでいます。
たとえば、一人っ子同士のカップルはどちらも自分の生来の姓を捨てられない事情があります。
お互いに相手を尊重して、改姓を嫌がるパートナーに無理に改姓を強いることができないため、事実婚を選んでいるカップルも多数います。
また、専業主婦(主夫)の方々は、旧姓を通称使用する場面すらありません。
そういった方々の中には、自分の生来の姓が消えてなくなってしまった感覚に苦しまれている方もいます。
同姓婚をされた方でも、相手に姓を変えさせたことで、相手の生来の姓を奪ってしまったという自責の念に駆られる方もいます。
そういった方々は仕事の問題というよりも、自分の姓に対する思いであったり、相手を思いやる気持ちであったりということから法的な別姓婚の選択肢を望んでいます。
陳情アクションの活動についての質問
民法改正は国会の仕事では?
その国会がまったく議論しようとしないため困っているという声を全国から国会に届けるために、各行政の議会において意見書の採択をお願いしています。
その積み重ねが国会に議論を促し、選択的夫婦別姓の法制化へと繋がっていくものと信じて私たちは活動しています。
陳情についての質問
私たちの陳情の中で把握した情報です。地域によって違う点もありますので、なるべく早くお住まいの自治体の議会事務局にお問い合わせください。
Q:陳情の締め切りはいつですか?
A: 2月定例会に提出するなら、1月末が締め切りとなる自治体議会が多いようです。自治体によりますので、なるべく早く議会事務局にお問い合わせください。
余裕をもって校正や内容確認ができるよう、1月中旬には文面ができているのがベターです。というのも、中野区議会では「2019年2月定例会に出すなら、内容確認のために1週間は余裕がほしいので1月中旬には相談してほしい」と聞いてるからです。
Q:初めての陳情で不安です。どんなことを書けばいいですか?
A:フォーマットをご提供しますのでご安心ください。
ただし自治体によって、体裁や枚数に規定があります。A4サイズ1枚がマストと決められていることもあれば、3枚でも受理されたり、「てにをはが間違ってなければOK」という自治体もあります。また、議会職員や議員さんが内容の確認や校正をしてくれる場合もあります。私たちの時は1週間ほどかけて区議会職員の方と何度かメールでやり取りし、文面を仕上げました(職員に様々な質問をしましたが、いずれも丁寧に応えていただきました)。
まずは早めに、お住いの自治体の議会事務局にお問い合わせください。
Q:確実に議会で議論してもらえるコツはありますか?
A:出し方を間違うと、せっかくの陳情書が審議されないままお蔵入り…ということもあるので要注意。
たとえば「郵送」ではなく「議会事務局に持参」が大前提である自治体(郵送された陳情は、議員に参考送付=いわゆる配布されるだけ。審議すらされない)も複数あることを把握しています。
また「陳情」ではなく、紹介議員の署名入りで提出する「請願」しか受け付けない自治体もあります。
自治体によって違うので、議会事務局に必ず質問してみてください。その他のローカルルールがあるかもしれません。
やはり「議員に対面で相談すること」は、確実に議論をしてもらい、可決に導くためにも強力なパワーを持っています。どうやって回ればいいか、詳細はTOPページの「Step4」ご参照ください。
Q:以前「選択的夫婦別姓に関する陳情が不採択となった自治体」「選択的夫婦別姓導入に『反対』の意見書がすでに出た自治体」ですが、陳情を出すことはできますか?
A:できます。あきらめないでください。区の議会職員より、「社会事情が変われば議論すべき事案である」と聞いています。
議会職員には「2018年2月に公表された内閣府世論調査で、賛成が反対を上回った。2018年に入って全国で一斉に陳情が出されている。社会事情は大きく変わったので、陳情を出したい」と伝えてください。それで万一突っぱねられるような地方議会があれば、私たちにご連絡ください。代わりに交渉します。
Q:陳情書に書く氏名・住所は公開されますか?
A:インターネット上には公開されません(蕨市の例でも伏せられています。また文京区の例では公開を希望しない場合、氏名・住所を黒塗りで対応)。
各委員会に付託される(参考送付でなく議論された陳情)の場合は「公文書」になるため、議員や職員は見るほか、区政・市政などの資料として図書館などに保管され、「わざわざ調べた方が閲覧することは可能」です。
詳細は陳情を出す議会事務局に問い合わせください。
Q:陳情はグループでやったほうがいいですか?名称も入れるべきですか?
A:グループ名はマストではありませんが、おすすめします。陳情書にはグループ名+氏名を入れられます。「地元の複数人が望んでいる」ということを議員さんに示すために、ローカルエリアの名前が入ったほうが「オフィシャル感」が出て、個人で行くよりも議員さんへの印象が良い場合があります。(電話やメールでアポを取る時も「山田花子です」より「〇〇会の山田花子です」のほうが通りやすい場合も)
中野区では地元感を出すために「選択的夫婦別姓制度を推進する中野杉並の会」としました。名刺はネット名刺屋さんでも安く作れますが、私は文房具屋さんで用紙を買って、自宅プリントしました。用紙はAmazonで買えます。
Q:公務員でも陳情できますか?
A:できます。
陳情は誰にでも等しく認められた権利です。万一「公務員であること」を理由に出せないと言われるようなことがあれば、ご連絡ください。弁護士さんにおつなぎできます。
Q:都道府県議会と市町村議会、両方陳情できますか?
A:できます。
選択的夫婦別姓のための法改正は国会で話し合われる問題であり、本来は地方自治体では議論されないはずのものです。しかし「国に動いてほしい」という意見書は、地方自治法第99条の規定によりに基づき、都道府県議会、地区町村議会からのいずれからも出すことができます。両議会はつながっていることが多いので、市議会議員さんにお会いできたら、同じ会派の県議会議員さんにご紹介を頼む、なども可能になります。
Q:「住んでいる自治体」「働いている自治体」に両方陳情できますか?
A:できます。
陳情は、住んでない地方自治体でも出せます。
平成20年頃、選択的夫婦別姓「反対」の陳情が全国で大量に提出され、いくつかは採択されました。これは強固に選択的夫婦別姓法制化に反対する団体「日本会議」の
「勤務先の地方自治体に仲のいい議員さんがいる」などの場合は、在住地より勤務先の地方議会への提出をおすすめします。
Q:陳情活動には費用がかかりますか?
A:議会に陳情書を提出するだけなら、ほぼタダ!紙代と印刷費用ぐらいなので数円です。
採択・可決の可能性を高めるために、議員さんに対面相談する場合に必要な費用としては、議員さんに配る資料コピー代、交通費、面談にカフェなどを使う場合の会議費等などが自腹になります。
安いコピー屋さんを探したり、議員へのプレゼンはPCで行って資料はメールで送るなどが、費用を抑えるコツです。
Q:意見書の可決には「陳情」以外に方法がありますか?
A:あります。
国会に意見書を送るには、実は大まかに3つほど方法があり、自治体や会派の構成によって受付方法/ベストな方法が変わります。
1・個人・団体名で直接議会に出す「陳情」
誰でも提出できます。可決してもらうためには、自分たちで各会派の議員さんにお会いして回り、理解を求めてもらうのが近道です。
ただし!自治体によっては、陳情を受け付けておらず「請願」または「議員発議」のみという議会もあります。議会事務局にまずは問い合わせましょう。
2・一人または複数の議員さんに「紹介議員」として署名してもらう「請願(せいがん)」
紹介議員さんにとっては自分が署名をした自分の議案になるので、文案作成から可決まで一定のバックアップを得ることができます。心強いですね。
ただし!会派のパワーバランスや、議員さんによっては逆に議会内での賛同が得られにくくなる可能性もあるので、慎重に見極めましょう。
3・そもそも市民の存在が表に出ない「議員発議」
「議員が自主的に議会に提案した議案」という形で審議にかけていただく方法です。ご自身で各会派に賛同を呼びかけていただけるので、しっかり選択的夫婦別姓にご理解していただける議員さんがいたら検討すると良いでしょう。
ただし!会派のパワーバランスや、議員さんによっては逆に議会内での賛同が得られにくくなる可能性もあるので、慎重に見極めましょう。
Q:待っていたらそのうち国会で議論してもらえるのでは…。
A: 40年も続く選択的夫婦別姓の議論を経て、私たちの国は「待っているだけでは動いてくれない国」であることは証明されております。困っている人が可視化され、求めている人が声を上げてこそ動くのが議会制民主主義。一人一人の声が集まって、大きなムーブメントになることがいま必要です。
多くの議会で続々と意見書が可決される中、潮目が変わってきています。2018年に入って4つ進行中の裁判を応援するためにも、いまこそ声をあげましょう。メンバー登録はこちらから。