水谷さるころさん×野田真外さん賛同メッセージ「他者の価値観を受け入れることができる成熟した社会に」

目指せ! 夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで」(新潮社)、「結婚さえできればいいと思っていたけど」 (幻冬舎)などのご著書で知られる事実婚カップル・水谷さるころさんと夫の野田真外さんが、当アクションへの応援メッセージを寄せてくださいました。

お二人のインタビュー「“事実婚”のメリット、デメリット 経験者に聞きました!

水谷さるころ(イラストレーター・マンガ家)

結婚したら、男性と同じ姓になって家族になり、一生暮らす…。何も考えず「そういうものだ」と私も思っていました。
しかし、30歳で結婚して改姓をすると、今までしたことのなかった体験をしました。私はフリーランスでそれまで10年イラストレーターをやって自活・自立をしていたのに「結婚して家庭に入ったから、もう仕事は片手間なんだよね?」と仕事相手に言われたり「旦那さんに養ってもらっているのだから、お金には困ってないでしょう?」とギャラを値引きされたりしました。「結婚」や「改姓」が持つ世の中のイメージがこんなにも保守的で男女差別的なものなのだと、実感させられました。
結婚とは、どちらかがどちらかの配下になるものではないはずなのに、改姓をしたほうはまるで企業が吸収合併したかのように、扱われるのだ…と感じました。
そして「名前」というものは、自分が感じている以上に「自己イメージ」を左右するということを知りました。そして、イメージだけでなく「社会との繋がり」も全て「名前」が関わっています。私の母が結婚したときは、母は自分の銀行口座も持っていなかったそうです。なので、名前が変わっても登録したものを変更するような「実務」がとても少なかったと聞きました。
私には、仕事用の銀行口座、個人の口座、電話、携帯電話、各公共サービス、クレジットカード、インターネット……名前で契約しているものが膨大な数あります。かつては女性がそのような契約をすることは少なかったため、改姓には手間もリスクも少なかったのでしょう。
しかし現在、自分の名前で自営業をしていると、取引先との契約の登録名や、銀行口座の名前が変わることはリスキーです。リスクを避けるための旧姓使用するのはとても手間がかかります。実際に自分がやってみてとても不便な制度だと感じるようになりました。現在の社会には合ってない制度だと感じます。
その後、離婚をし、再婚をした現在は改姓をせず事実婚をしています。「改姓をしていない」というだけで、仕事に関して感じるストレスも実際にかかる手間も減っています。
そして、今は世界中で認められている「選択制夫婦別姓」の制度がなぜ日本にだけ導入できないのか、ということに疑問を感じています。結婚して同姓になりたい人は同姓に、別姓で生活したい人は別姓を選べる制度を日本にも速やかに導入できるように、心から願っています。

野田真外(映像ディレクター)

この日本に暮らしていると、多くの人が「当たり前」と思っていることが、本当は「当たり前」じゃないということに気が付きます。
自分にとっては「結婚したら女性の名字が変わる」というのもその一つでした。
むしろ、結婚したいという女性にとっては、名字が変わることがステータスとすら考えられていたりします。しかし実際には「結婚しても、慣れ親しんだ名前を変えたくない」という人は大勢います。
私だってできれば変えたくありませんし、私の現在のパートナーもそうです。

日本の社会全体で見れば夫婦別姓を希望する人はまだ少数かもしれません。しかし、それを「選べる」ようになれば、より多くの人たちの「生き方」が認められることになります。他者の価値観を「自分とは違うけど、そういうのもありだよね」と受け入れることができるのが、成熟した社会なのだと思います。変えたい人は変えればいいし、変えたくない人はそのままでもいい。

姓の問題に限らず、社会のあらゆる場面において多くの「選択肢」が認められるような、優しい社会になって欲しいと心から願っています。

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