野口敏彦・第二次夫婦別姓訴訟弁護士による戸籍法改正訴訟の概要と進捗/書き起こし(2/14超党派勉強会より)

2020/2/14に行った超党派勉強会にて第二次夫婦別姓訴訟弁護士の野口敏彦弁護士にも登壇いただき、民法改正訴訟についての概要と進捗に関してご報告をいただきました。その模様を書き起こしにてお伝え致します。

それではまず司法の状況からご報告いただければ、と思います。
民法改正の訴訟に関して概要と進捗に関して野口弁護士お願いします。
はい、弁護団に所属しております弁護士の野口と申します。よろしくお願いいたします。

以下、野口弁護士
座ってお話しをさせていただきますけども、持ち時間三分と言うことで、今日は本当にさわりだけ、ということにさせていただきます。
次のレジュメですかね、スライド4枚目です。
民法改正訴訟の概要と進捗と・・・訴訟ですので民法改正が直接求められるものではないのですが、青野さんの方が戸籍法中心の、それを争点とする訴訟ですので、こちらを今日便宜上、民法改正訴訟と名付けさせていただいております。

ポイントとしては、夫婦同氏を義務づけた民法750条、これが信条による差別ではないかという主張をメインに据えて、これだけではないんですけれどこれを主たる主張としています

民法750条ですが、ご存じの通り夫婦は婚姻の際に、定めるところに従い夫または妻の氏を称すると書いてありまして、他方憲法14条一項も、これもご存じの通り、すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、(政治的、経済的又は社会的関係において、)差別されない。

で、そうすると民法750条のもとでは、同氏婚を希望する方、または同氏になるのは本当は嫌だけれども許容できるという方は結婚できるんですけれども、夫婦がそれぞれ生まれ持った氏を維持したいと、そのまま結婚したいという場合は結婚できないということになります。

これは、どういった名前で今後生きていきたいかというのは、人生に関する信念とも言い得るところでありますので、信条による差別にあたるのではないかと。こういった主張をさせていただいておりまして、すでに東京地裁の本庁と東京地裁の立川支部の二件ではこの、信条にあたる、ということが認められているところでもございます。

で、ご存じかと思いますが2015年にすでに一度、この別姓の問題については最高裁の判決が出ておりますが、その時とは事案が違っておりまして、2015年は性差別ですね。日本では96%の夫婦が夫の氏を称する実態になっ
ておりますので、それは男女間で差別があるのではないかという主張をいたしました。

今回は男女間の差別ではなくて、信条による差別です。別氏婚をしたい方が、そうでない方と違って結婚ができないと。これは信条による差別ではないかと、そういう主張をさせていただいております。

わたしたちが求める民法改正案は平成8年に民法改正案要項がすでに発表されておりますが、それと基本的には同じです。

それは、夫婦は婚姻の際に定めるところに従い夫もしくは妻の氏を称し、または各自の婚姻前の氏を称する。この「または2人の婚姻前の氏を称する。」という文言を入れていただきたいと。これにより夫婦の双方に生来の氏を称する選択肢を認めていただきたい。詳細につきましては、こちらの、先ほど紹介がありました「あした夫婦同姓・別姓『選べる』になあれ」、この冊子に民法改正案ということで詳細が、戸籍案も含めてご紹介させていただいておりますので、詳細はこちらをご覧いただけたらというふうに思います。

最後3ページ目になりますが、現在の進捗状況ですけれども、大きくこの事件は二つの手続で進めております。
一つが家事審判手続で、こちらはですね、夫婦それぞれが、夫の氏と妻の氏両方、それぞれが所属するという婚姻届を各自治体の方に提出しまして、当然これは不受理になるわけですが、これについて不服を家裁のほうに申し立てると、そういった婚姻届の受理を求める申し立てというかたちで。これが既に最高裁までに3件継続しており、残る1件が広島高裁に係争中と。

もう一件、これは国家賠償請求訴訟。これは立法不作為ですね。立法不作為によって精神的損害を受けた、精神的苦痛を受けたということで慰謝料請求という形を取っていますが、こちらが東京高裁に2件、それから広島高裁に1件継続中です。

ということで、もうすでに早いものは最高裁にいっておりますので、今年の遅くまたは来年、場合
によっては、なにかしら最高裁の判決が出るのではないかなというふうに予測をしている状況
です。
簡単ですが私の方からは以上です。

(書き起こし終わり)

撮影:齋藤周造