2020/3/10に行われた衆議院法務委員会において、高木錬太郎議員(立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム)と串田誠一議員(日本維新の会・無所属の会)からそれぞれ「選択的夫婦別姓」に関する質疑が行われ、森法務大臣が答弁を行いました。
特に、高木議員からは自身が改姓当事者である事からその事に思いを馳せた内容の質疑があり、それに対する答弁として森大臣から「私は家制度とか家父長制度とかにはあまり、全く思い入れがないんですが・・・」といった発言があるなど、大臣の生の声が聞けた国会中継でした。
高木錬太郎議員(@takagirentaro)からの質疑
出典:衆議院インターネット審議中継(2:40:39)
高木錬太郎議員(立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム):
前にも当委員会でご紹介しましたが私は改姓当事者です。いろんな思いがあったとその時にはお話しいたしました。いろんな思いという言葉にしましたがもっと具体的に氏を変えるかどうか決断をする時に、正直にその時の思いを申し上げますと・・・実は屈辱感なんです。
あえて申し上げますが「なんで俺が」。乱暴な言い方になりますけど「女房の、女の、氏を名乗らなければいけないんだ」と言う気持ちになりました。屈辱感です。
自分はですね、政治家の妻と結婚しまして、育児も家事も一緒にやろうということで、まぁ相当リベラルな人間だなという自称・自覚はあったんですよ。しかし、この決断をするときに決断を迫られた時に「いやいやどうして」・・・私も大分「イエ」とか家制度とか家父長制、みたいなものが無意識のうちに自分の中に染み込んでいるなあと、引っ張られていたと、その考え方に。
ということをのちに私にとっては非常に重い決断をする・した後、ある思いに至った時に・・・決断ができるようになるまで思いが至ったときに、自分を客観視できたんですね。
その時にいやいや自分は相当、言うほどでもなかったなと。家とか家父長制みたいなことに引っ張られていたなと。
これはですね、まぁ折しも3月8日は国際女性デーで、それに合わせて国連の中満
泉さんがインタビューに答えられている記事を私も読みましたが、まぁ刷り込みなんだろうなと思うんですね。私も相当刷り込まれていたと。男女格差ランキング、158カ国中121位。もちろんこの夫婦別姓の話だけではなく様々な、様々な指標でそういう評価になっていると思うんですが・・・大臣、改めてこの場で伺いたいと思います。
この現状、何とかしませんか。なんとかしましょうよ。男女共同参画大臣、橋本大臣といっしょに、国民の議論を待つのではなく、お二人でいっしょに喚起し牽引するぐらいの気勢で変えていこうではないですか、いかがですか。
出典:衆議院インターネット審議中継(2:41:11)
森まさこ法務大臣:
本当に委員のご自身の体験に基づく思いを聞いて胸に迫りました。
私もやはり結婚するときに氏が変わりましたので、そのときのことを思い出しましたけれども、私は家制度とか家父長制度についてはあまり、全く思い入れがないんですが、そうではなくて私の場合はやはり、結婚も遅かったこともあり、それまで30年間ぐらい使ってきた自分の名前、自分自身の存在意義というか、それが変わるような辛さというかさみしさを覚えた経験がございます。
それを、いろんな方のご意見を聞いていると、長ーい結婚生活をしていて夫の方の氏だったんだけれども、離婚をするときに元の旧姓に戻すんじゃなくて、ずっと結婚して使っていた名前が自分自身になっているので変えない、という方がいらっしゃるのと似ているのかな、と思っております。
それぞれこの名前というもの、呼ばれる呼び名というものに対しては、いろんな思いがあるんだと思います。
それに対していまさまざまなご意見があり、自民党の女性議員もですね、稲田朋美さんを中心にですね、旧姓継承制度というのも考えていらっしゃるようですが、またその他の党からも、先日予算委員会でご提案いただいたところなんですが、そういった国会や政党間でのご議論もしっかり受け止めながら検討をしてまいりたいと思います。
串田誠一議員(@KushidaOf)からの質疑
そして串田誠一議員の質疑へと移ります。
串田議員からは “15名の裁判官のうち5名が違憲と判断した”こと、うち全ての女性裁判官(3名)が違憲の立場を取ったことについて、森法務大臣に質疑。
また、法務委員会終了後には『15名の裁判官のうち男性12名:女性3名で選択的夫婦別姓について判断すること自体がフェアではない』といった旨のツイートも。
出典:衆議院インターネット審議中継(6:30:47)
串田誠一議員(日本維新の会・無所属の会):
串田議員より2015年選択的夫婦別姓訴訟の判決について、一部裁判官による違憲判断について森大臣の考えを質問。
森まさこ法務大臣:
5名の裁判官が現行の夫婦同氏制度を違憲とする意見を述べたことは真摯に受け止める必要があると認識をしております。
もっとも判決においては選択的夫婦別氏制度の導入については、国会で論ぜられ判断されるべきという指摘がされたことでありますので、まずは国会における議論の動向等を注視しながら対応を検討してまいりたいと思います。
串田誠一議員(日本維新の会・無所属の会):
(前略)法務大臣として今後法律を作るに当たっては、選択的夫婦別姓にしてしまうと何かこう不都合が生じるというようなことを立証しない限りは、現在は違憲状態であると私は思っているのですが、お答えいただけないでしょうか。
森まさこ法務大臣:
(串田)委員の「立証」の意味するところが必ずしも定かではございませんけれども、平成27年の最高裁判決は夫婦同氏制度において社会の自然かつ基礎的な集団単位である家族の呼称を一つに定めることには合理性が認められること、家族の一員であることを対外的に公示し識別機能があることにも一定の意義があること、このような観点から見て現行の夫婦同氏制度には合理性があり憲法違反の問題は生じないものと考えておられます(訂正)考えております。
他方でこの判決では、先ほど申し上げましたとおり、選択的夫婦別氏制度の導入の是非について、国会で論ぜられ判断されるべきという指摘もなされておりますので、法務省としては最高裁判決における指摘を踏まえながら、まずは国会における議論の動向等を注視しながら、慎重に対応を検討してまいりたいと思います。
開会日 : 2020年3月10日 (火)
会議名 : 法務委員会 (5時間14分)
書き起こし:C + Y
構成、投稿担当:Y