露の団姫さん×豊来家大治朗さん賛同メッセージ「宗教が違っても、姓が違っても、私たちは夫婦です」

通称使用法律婚からペーパー離婚をして事実婚カップルになられた、落語家であり僧侶である露の団姫さんと夫である太神楽曲芸師の豊来家大治朗さんが、当アクションへの応援メッセージを寄せてくださいました。

露の団姫さん(落語家・僧侶)

私、落語家で天台宗僧侶の露の団姫と申します。
太神楽曲芸師の夫と結婚して8年。私たちは宗教も姓も違う夫婦です。

◆宗教の違う二人
私は天台宗の僧侶でもあります。そして、夫はクリスチャンです。結婚当時は「夫がクリスチャンなら妻もクリスチャンになるべきだ」と強烈なバッシングを受けました。しかし、なぜ結婚したら妻が夫の宗教に合わせなければならないのでしょうか。それは家制度がとっくの昔に終わった現代でも、疑問を抱くことすら許されない風潮にあります。

私にとって仏様は親のような存在ですから、夫にとってイエス様は親です。人間、人それぞれ親が違って当たり前ですし、結婚したらお互いの親を大事にします。だから、お互いの親を大事にするように、お互いの神様と仏様を大切にしよう、と、それぞれの宗教を持ったまま、結婚しました。

天台宗の総本山・比叡山延暦寺では毎年8月に世界中の様々な宗教の人が集う宗教サミットが行われており、ここでは「互いの信仰を認め合い、共に平和を祈る」式典が行われています。私たちは、まさにこの宗教サミットのような気持ちで結婚をしました。今まで宗教のことで一度も喧嘩したことはありません。
人間は、どうも「違い」が苦手で「一緒」だと安心する傾向が強くあります。しかし、人間は違うからこそ発見もあり、進化があります。違いを楽しみ、一緒を喜ぶ、という気持ちでいれば、笑顔の輪はどんどんと広がります。

◆それぞれの姓を名乗る二人
私は、小さい頃から宗教だけでなく、結婚すると男女がどちらかの姓に合わせなければならないこと、そして、女性が男性側に姓を合わせることが一般的であることに疑問を感じてきました。

実は世界中で未だに「夫婦同姓」を続けている国は日本だけで、国連から夫婦同姓制度を廃止するよう、何度も勧告を受けています。夫婦別姓を望む人の中には、家の名前を継承したい人や、姓が変わることによって自己の喪失感を覚える等のアイデンティティの問題もあります。もちろん、同姓にすることによって愛が深まる、嬉しいという人も沢山おられるため、人それぞれで良いはずです。

そこで昨今、議論されているのが「選択的夫婦別姓」ですが、根強い反対派もいるため、これがなかなか叶いません。しかしその「反対」の理由を見てみると、「家族の絆がなくなる」という人が多いのですが、実際には姓が一緒でも不倫や家庭内暴力が絶えない家庭は少なくありませんし、事実婚でも愛に溢れた幸せな家庭は沢山あります。

結婚時、姓や宗教を互いの合意のもと合わせることは「絆」に繋がるかもしれませんが、片方が納得していないのに半ば強引に姓や宗教を「慣習」を理由に従わせるという行為は、「きずな」ではなく「たづな」だと思います。手綱は引いている方はご機嫌ですが、引かれている方は首が絞まってものも言いづらくなってしまいます。

◆法律婚から事実婚へ
私は、2011年に婚姻届を提出し、法律婚をしました。もともと夫も夫婦同姓に疑問を持っていたためお互いに悩みましたが、夫の家庭の事情を考慮して、私が夫の姓になることにしました。
しかし、自分の姓ではなく夫の姓で呼ばれることは私の場合想像以上の苦痛で、結局、2017年にペーパー離婚をして、現在は夫婦別姓のための事実婚生活を送っています。
多少面倒なこともありますが、事実婚にしてからのほうがより楽しく仲良くできています。それでも、事実婚は決してベストな状態ではありません。あくまでも夫婦別姓が実現しないために私たち夫婦がとったベターな状態ですから、一日も早く、選択的夫婦別姓の実現を望みます。

◆「選択的夫婦別姓」で自分らしく生きる
「選択的夫婦別姓」は「選択的夫婦同姓」と同じことですから、誰一人として困る人はいません。
姓を理由にカップルが結婚を思い悩まなくても済むように法改正を願っています。

最近、選択的夫婦別姓の代替策として、国がパスポートなどへの「旧姓併記」をはじめました。
しかし、この旧姓併記はただの子ども騙しでしかありません。結局、夫婦同姓で苦しみを感じている人は、戸籍そのものの「本名」が自分本来の姓でない限り、苦しみが続くからです。仏教の苦との向き合い方は、その場しのぎのものではなく、根本的な解決を目指すものです。問題を先送りにするのは苦しみを引き延ばすだけで、なんの解決にもなりません。

ではここで謎かけを一つ。「旧姓」とかけて「戦争」ととく、そのこころは「どちらも併記(兵器)はいりません」。

どんな人も、宗教も姓も、誰にも強制されることなく、自分らしく生きられる社会になりますように☆

豊来家大治朗さん(太神楽曲芸師)

◆夫婦別姓は「女のワガママ」ではない
太神楽曲芸師の豊来家大治朗と申します。私は小さい頃から結婚することが夢でした。
でも、結婚したら女の人が名前を変えることが不思議で、それって嫌じゃないのかなと思ったり、もし自分が本来の姓である井村でなくなったらどうなるのかなと考えたことがありました。

選択的夫婦別姓は、女性の問題と考えている人が多いようですが、それ自体が問題です。
事実婚にしたことを妻が公表してから、「団姫さんのこと理解してあげて偉いね」と言われることがありますが、これは妻だけが一方的に夫婦別姓を望んでいたと思い込まれている証拠です。
男性側である私の考えは不在なのです。夫婦別姓は女性の問題、女性のワガママと思われている風潮が、この「夫の理解」だという考え方に表れています。

多くの女性が改姓することが当たり前になっていて、それで苦しんだり違和感を覚える人が多いからこそ、愛する人のために男性も自分の問題として考えるべき問題ではないでしょうか。

男性が夫婦別姓を望むと「結局変えるのは女性だからええやん」と言われます。
でも、夫婦別姓に限らず、いじめでも、差別でも、当事者の気持ちになって考えることは大切です。
思いやりにあふれた世界が生きやすい世界だと思います。そんなあたたかな世界になることを祈ります。


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