2023年8月21日、私たちはジェンダー平等を推進する「一般社団法人あすには」設立記者会見を開催しました。2018年末より「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」として活動してまいりましたが、選択的夫婦別姓の法制化を一丁目一番地として、今後はさらに企業や教育機関、国際機関、他団体との連携を深めつつ、共通の障壁が立ちふさがるジェンダーの社会課題に風穴をあけたいと法人化しました。代表理事の井田奈穂が当日の様子をレポートします。
法人拠点となるJustCo新宿ミライナタワーに延べ80人以上が来場
法人拠点となるJustCo新宿ミライナタワーには、9党の議員の皆様をはじめ、延べ80名以上の方々がご来場くださいました。
記者会見では、ジェンダーギャップ125位の国に山積する課題を「明日には」変えるべく設立した「あすには」のビジョン、今後の事業展開についてお話ししました。ぜひ動画アーカイブでご覧ください。
ジャーナリスト・津田大介さんが会場からライブ中継してくださった「ポリタスTV」の方が、音声が聴き取りやすいかもしれません。
7チームで選択的夫婦別姓実現とジェンダー平等を推進
指導的地位に占める女性割合は2003年からずっと「目標30%」のまま据え置き20年目。女性の給与水準は男性の75%。家事育児負担は女性が5倍。配偶者控除も年金第3号被保険者も維持されています。ジェンダーギャップ指数は世界125位と、毎年過去最下位を更新。2023年1月の国連UPR審査において、日本は包括的性教育や避妊中絶のアクセス改善、同性婚法制化などSRHRについて24カ国から36もの改善勧告が発出されているジェンダー後進国になってしまいました。
ジェンダー平等「やってる感」ではなく、「やる」国にするために、理事6名、設立時社員10名、そして約700名のメンバーと共に、以下の目的を掲げて「あすには」は発足しました。
選択的夫婦別姓とジェンダー平等を実現するための今回の法人化は、「第40回市川房枝女性の政治参画基金」(公益財団法人市川房枝記念会女性と政治センター)、「女性リーダー支援基金 ~一粒の麦~」(公益財団法人パブリックリソース財団)の助成対象としてご支援いただいています。
担当理事のもと、今後は以下の7チームで運営していきます。
コミュニケーションチーム・イベント企画部門では、私たちが法人拠点を置かせていただいたJustCoさんと共催で、トークイベント「Let’s talk about us.」をすでに過去2回(2023年3月、6月)開催しています。強力な外部サポーターとして、企画運営をともにしてくださっているJustCo DK Japanのカントリーマネージャー・鈴木省吾さんにもご登壇いただきました。
各理事、チームリーダーからは、「あすには」に参画した想いやビジョン、各人の目線で捉えた日本の問題点について発表しました。
懇親会では助成団体、9党の皆様などからご祝辞、動画メッセージをいただきました
一般社団法人設立のご報告をしたところ、ありがたいことに多くの方々に共感、激励の言葉をいただきました。そのうちのお一人が、ジャーナリスト・浜田敬子さんです。AERAやBusiness Insiderの編集長を歴任されていた頃から選択的夫婦別姓について報道を続け、昨年『男性中心企業の終焉』(文春新書 1383)を出版されるなど、ジェンダーについて、常に未来を見据えた発信をし続けてくださっています。昨年、陳情アクションから「あすには」を設立するためにパブリックリソース財団の女性リーダー支援基金の助成金申請をした時、浜田さんはじめ上野千鶴子先生などにも審査員として私たちの取り組みを選出いただきました。浜田さんに乾杯のご挨拶として激励の言葉をいただき、懇親会をスタートしました。
昨年、女性リーダー支援基金と同時期にもう一つ、助成金で応援してくださった団体が「公益財団法人 市川房枝記念会女性と政治センター」でした。77年前の女性参政権実現、38年前の国連女性差別撤廃条約批准に尽力され「権利の上に眠るな」と60歳で国会議員になられたレジェンド・市川さんの記念会から応援していただけたこと、大変光栄に感じています。今回は大河巳渡子(みとこ)常務理事から、林陽子理事長のお祝いのお言葉を代読いただきました。国連女性差別撤廃委員会委員長としてご活躍された林理事長が寄せてくださった「日本の政治や司法の状況をただ嘆いているだけでは何も始まらない。法人化の英断に心より敬意を表したい」とのお言葉をしっかり噛み締めて、先に進みたいと感じました。
私たちが活動を始めて5年の間、法改正を叶えるために地方議会での意見書の可決、そして国会での議員陳情や勉強会と、党派を超えて多くの議員さんがサポートしてくださっています。お祝いに駆けつけてくださった議員の皆様からも、お言葉をいただきました。
都民ファーストの会
ご出産されたばかりで駆けつけてくださった荒木ちはる都民ファーストの会特別顧問をトップバッターに、小山くにひこ顧問、後藤なみ政調会長からもご挨拶をいただきました。
都民ファーストの会の皆様は2021年、都議会での意見書可決をサポートしてくださり、小池百合子都知事にも直接陳情の機会を作ってくださいました。今回も小池東京都知事からもお祝い動画が!「法改正について早急に結論を出すよう国に働きかけています」と踏み込んでくださった知事のメッセージ、そして党としてのお祝い動画(次項でご紹介)も作ってくださり、大変心強く感じました。
自由民主党
続いて自由民主党から、三宅伸吾参議院議員、山口典子堺市議にご挨拶いただきました。三宅議員は「選択的夫婦別氏制度の早期実現を目指す議員連盟」の中心的メンバーとして党内勉強会を運営してくださっているほか、地元・香川のメンバーが定期開催している当事者の会にも度々ご参加くださっています。ご自身の結婚の時も改姓問題で悩み、挙式から婚姻届を出すまでに3年もかかったというエピソードを国会質疑で語られた時、“当事者”としてこの問題に取り組んでくださっているのだとの連帯感を持ちました。
大阪から駆けつけてくださった山口先生は堺市での意見書可決の際に初めて知り合い、自民党内にジェンダーで博士論文をお書きになった女性議員がいらっしゃったとは!と目から鱗でした。自民党大阪府連で「おっちゃん政治から脱却を」と女性政治塾・「watashiba(わたしば)」を開かれているなど、党内からジェンダー平等を目指す動きを作られており、私が大変尊敬するお一人です。
自民党からは、野田聖子衆議院議員からご祝電、牧島かれん衆議院議員からはお祝いメッセージ、鈴木馨祐衆議院議員からはお祝い動画をいただきました(次項でご紹介)。ありがとうございました。
公明党
公明党からは、古屋範子副代表、高倉良生東京議員、松葉多美子東京都議、甲田百合子中野区議にご挨拶いただきました。古屋議員がおっしゃった通り、公明党は2001年に党の法案を提出されて20年以上、常に賛成の立場で区議会から都議会、国会まで一貫して選択的夫婦別姓を推進してくださっています。私が右も左もわからず中野区で活動を始めた2018年から、甲田区議、高倉都議、松葉都議には意見書可決にご尽力いただいており、新たな一歩を踏み出す時にも駆けつけていただいたことに胸が熱くなりました。国会では古屋議員や大口善徳議員を中心に、何度も当事者証言を聞く勉強会を開いてくださり、別姓家庭の子どもたちからの法改正要望書も山口那津男代表に受け取っていただいています。
公明党はとてもわかりやすい選択的夫婦別姓解説動画を発信してくださっており、これを作られた竹谷とし子参議院議員には今回もご祝電をいただきました(次項でご紹介)。ありがとうございます。
立憲民主党
続いて立憲民主党から法改正に長年取り組んでくださっている先輩のお2人がご登壇くださいました。かつて選択的夫婦別姓訴訟弁護団の弁護士として国賠訴訟に挑んだことがきっかけで「国会の中から変えないと」と国会議員となられた打越さく良参議院議員。そして宮城県仙台市で「別姓を考える会」を立ち上げられたお一人で、なんとご家族3世代にわたり法改正を待っておられる樋口典子仙台市議です。本来なら1996年の法制審議会の答申ですぐに決まったはずの法改正・・・四半世紀にわたる当事者の苦痛や悩みをつぶさに聞いて寄り添ってこられたお2人ならではのヒストリーは、胸を打たれるものがありました。
立憲民主党からは、代表代行の西村ちなみ衆議院議員、前幹事長の福山哲郎参議院議員、国会質疑で別姓問題を鋭くつっこんでくださっている杉尾秀哉参議院議員からもお祝い動画・メッセージをいただきました(次項でご紹介)。ありがとうございました。
日本共産党
日本共産党の小池晃書記局長、この方が引き出した首相答弁や省庁答弁で何度、私たちは目から鱗の事実を知ることになったでしょうか。反対派に忖度して法務省が世論調査の設問変更を行ったのでは、という件も鋭く国会質疑で取り上げてくださいました。お祝いの言葉でも、「選べないで苦しむ人を救うのが政治じゃないですか」と力強く語ってくださいました。
日本共産党からは副委員長の田村智子衆議院議員からもメッセージいただきました(次項でご紹介)。ありがとうございました。
社民党
この方なくして選択的夫婦別姓の法改正の歩みはなかったと言える方にもお越しいただきました。社民党の福島みずほ党首です。1980年代から弁護士として選択的夫婦別姓に取り組まれ、裁判やロビー活動で法改正を求める活動に取り組まれた後、国会議員に。数々の国会答弁で法改正を迫ってくださっています。女性やマイノリティの人権について盾になって守ってくださる守護神に、この場に来てくださったこと、大変光栄でした。80-90年代のロビー活動裏話、とても興味深く拝聴しました。
れいわ新選組
れいわ新選組・くしぶち万里衆議院議員は、5月14日に私たちが国連・省庁職員7名の証言で旧姓使用の限界を明らかにした超党派勉強会でも、呼びかけ人を務めてくださいました。国会では選択的夫婦別姓 の導入が四半世紀なぜ実現しないのか?なぜこども庁がこども「家庭」庁へ名称変更になったのか?など、宗教右派の影響によるジェンダー政策の歪みについて鋭く追及されています。
会場にお越しくださった議員の皆様以外にも、日本維新の会:音喜多駿政務調査会長、国民民主党:伊藤孝恵副幹事長からも素敵な、温かいお祝い動画(次項でご紹介)をいただき、大変心強く感じています。ありがとうございました!
ビジネス界からは「自分広報力」(イースト・プレス)を出版されたばかりのデロイトトーマツグループ執行役員の金山亮さん、またテレビコメンテーターとして選択的夫婦別姓について度々取り上げてくださっている三輪記子(ふさこ)弁護士にもご挨拶いただきました。「女性活躍」というのなら「女性がキャリアを積む上で働きやすい環境であること」はマスト。望まない改姓、煩雑な旧姓使用では雇う企業も働く人も余計なタスクと気苦労が重なります。今後もお二人と、ジェンダー平等推進に向けてご一緒できる機会があればと願っております!
「あすには」設立に立ち会ってくださった皆様から異口同音に「頑張って」ではなく「一緒に頑張りましょう」という言葉をいただけたのが印象的でした。改めて私たちの法人化が、法改正に向け、党派や業界など立場を超えて連帯を加速していくきっかけになれればと願っています。
各界の方々からいただいた動画・メッセージ
政界、学術界、経済界などの皆様からお祝いの動画、メッセージ、ご祝電をまとめました。
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