茨城県での陳情アクション 〜6件目の採択にいたるまで〜

茨城県では、選択的夫婦別姓制度を求める請願が次々に採択されています。2月26日には、つくばみらい市議会で県内6件目の意見書が可決されました。
チーム茨城として活動するメンバーの一人が、その奮闘を語ってくれました。


「じつは僕ね、10年前に別姓反対の請願に署名して採択させているんですよ。」

市議会議員のこの言葉に息をのんだのは、つくばみらい市役所の一角でした。昨年秋、茨城県で6件目となる「選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書についての請願」を出そうと相談していたときのことです。

私たち夫婦は事実婚のまま25年間、別姓が認められるのをただ待ち続けてきました。しかし2019年3月、東京高裁でサイボウズ青野社長の訴えが棄却されたのを見て「待っているだけではダメだ、何かしなければ」と思い直し、ネットで見つけた「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」に参加しました。「ド素人でもできる」というフレーズが頼みの綱でした。

陳情アクションのマニュアルに従い、まず地元の市議会議員さんに相談しました。議員と話すなんて初めての私たちに、その議員さんはとても親身で、さっそく党の勉強会を開いてくださいました。そこには隣の市議さんも参加しており、同時に2議会に請願を出すことに。その後、他の会派の議員さんへの勉強会も行って理解を広め、無事に両議会で請願は採択、国に意見書を出してもらうことができました。小さな議会ですが、初めて自分たちの手で政治を動かした瞬間でした。

同時に、議員さんの「議員としてよい仕事をさせてもらえた」という言葉に「これはもっと行ける、行かなければ」とも感じました。じつは茨城県では女性研究者がすでに陳情アクションに参加し、つくば市議会で採択を実現していました。そこで次からは「茨城の会」として3名で活動を開始。近隣市で4件目、5件目の意見書可決を達成しました。

「茨城の会」県南地域の公明党市議さんとのミーティング

6件目が、冒頭のつくばみらい市だったのです
しかし、ここでものを言ったのが「勉強会」多様性を尊重することの重要性や、選択制である限りデメリットはなく幸せな人が増えるだけだということをしっかりと理解してくださったその議員さんは、なんと大きな変身を遂げました。「時代は変わった。やはりこれからは必要なこと」と、紹介議員として私たちの請願書に署名。反対派の議員さんにも堂々と渡り合い、「継続審議」という延長戦までもつれ込んだ討論を戦ってくださったのです。その結果、2月26日に請願採択、その日のうちに茨城県6件目の意見書が国へ送られることとなりました。

つくばみらい市の議場にて、お世話になった議員さんと

 同じ26日に、青野社長の裁判は高裁でまたもや棄却。しかし落胆している暇はありません。私たちの声を国に届けるには、一件一件を地道に積み上げていくしかありません。茨城の会は、これからも活動を続けます。茨城出身の4人目のメンバーとともに、他の市議会、そして県議会にも働きかけていきます。

【つくばみらい市議会へ提出した請願】