GW明けのある日、ポストに届いた令和元年5月15日発行の西東京市市議会だより。この最終ページに、陳情アクションとして提出した「選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書を国に提出することを求める陳情」の採択と、「選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書」の可決が掲載されました。
西東京市では、陳情と意見書提出どちらも賛成多数で可決。それも、他の地域では党を挙げて反対というパタンの多い自民党会派からも、半数以上の賛成を得た上での賛成多数での採択となりました。
以下では採択までの議会の様子をレポートします。
まずは委員会での審議
市議会では、本会議で付議される前段として、委員会での審議が行われます。例えば西東京市の場合の審議の流れはこちらの通りで、提出された陳情は、委員会の審議で「採択」にならなければ、本会議で付議されることはありません。つまり委員会での審議が、採択の可否を決める大きな第一歩となります。
付託先は企画総務委員会。西東京市の採択は、委員9名のうち議長1名を除く8名の多数決で決まります。会派ごとの委員を構成をみてみると、自民3名、公明1名(+議長1名)、共産1名、立憲1名、統一会みらい1名、無所属1名。反対の可能性があるのは自民党?他の会派からも・・?と心配しつつ、委員会付議の3/7は、審議模様を傍聴に。
もしかして全会一致!?
委員会で陳情の審議が始まるとすぐに、委員の方が意見を述べる討論の場となりました。西東京市より前に、 港区と武蔵野市での委員会審議を傍聴したのですが、その時のような市職員との質疑応答が繰り広げられることなく討論です。
まず、佐藤公男議員からは、 公明党は2001年に選択的夫婦別姓の導入を柱とする民法改正案 を国会に提出しており、党として賛成していることについて説明。続いて納田さおり議員からは、 ご自身の経験からも選択的夫婦別姓が必要であること、 世界的にも日本だけが取り残されているこの状況を改善すべきであ ること、など、力強い賛成意見が述べられました。 最後に藤岡智明議員からは、憲法13条、24条の個人の尊厳、 両性の平等という趣旨から選択的夫婦別姓制度は当然、 という賛成意見。(憲法24条大事ですよね。本当に)
ここで、反対の立場からの意見がない中、 議長からの声がけて「採択」に。
挙手の様子を見ていると…あれ?自民の議員の方が挙手!? あれ、まさかの、全会一致!?
と思ったところ、統一会派みらい(立候補時の政党は「 NHKから国民を守る党」)の冨永議員のみが反対で、残念ながら全会一致とはならず。とはいえ、堂々の賛成多数で、無事に本会議に議案が提出される運びとなりました。
そして本会議
続く本会議は3/27に。 この日は残念ながら傍聴できず、 議事録からの議事模様の紹介です。
本会議そして前に紹介した委員会の様子は、審議から2ヶ月ほどで市議会会議録検索で公開されます。委員会での審議模様は3/7の「企画総務委員会」の議事録から、本会議での議論は「第1回定例会」 からキーワードを入れて検索し、参照することができました。
委員会付議と同じく、本会議でも賛成意見のみ。生活者ネットワークの加藤議員からは、 市議会議員になる前の職場で旧姓使用をしていたこと、 今でも改姓後の名前を名乗ることに違和感があること、 早急に見直しが必要との賛成意見が、また、納田議員からは委員会での発言に引き続き再度、 ご自身の改姓にともなう不都合や、1日も早い民法改姓が必要なことなど、 力強い賛成意見が述べられました。
採択については、28名の議員の中で、自民の一部と統一会派みらいの一部の計5名のみが反対、そのほか23名の賛成で無事採択となりました。
また、陳情書の採択と別に、委員会での陳情採択を受け、複数の議員の連名で提出された国への意見書の文面も審議され、採択となりました。
その全文は議員提出議案「選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書」でみることができます。素晴らしい内容なので、以下に全文を引用します。
選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書
提出者 西東京市議会議員 大 林 光 昭
賛成者 西東京市議会議員 中 川 清 志
西東京市議会議員 佐 藤 公 男
西東京市議会議員 森 しんいち
西東京市議会議員 藤 岡 智 明
西東京市議会議員 後 藤 ゆう子
西東京市議会議員 かとう 涼 子
西東京市議会議員 納 田 さおり
西東京市議会議員 田村 ひろゆき
選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書
2018年2月に内閣府が公表した世論調査では、夫婦同姓も夫婦別姓も選べる選択的夫婦別氏(姓) 制度の導入に賛成・容認と答えた国民は66.9%となり、 反対の29.3%を大きく上回った。特に、 多くの人が初婚を迎える30~39歳における賛成・ 容認の割合は84.4%に上る。また、 同年3月20日の衆議院法務委員会において、 夫婦同姓を義務づけている国は、世界でただ一国、 日本だけであることを法務省が答弁した。
この間、1996年2月には法制審議会が「民法の一部を改正する法律案要綱」を答申し、 同要綱において選択的夫婦別氏制度の導入が提言された。また、 国連女性差別撤廃委員会は日本政府に対し、2003年、 2009年、2016年と繰り返し民法改正を勧告している。 2015年12月に閣議決定された第4次男女共同参画基本計画で は、選択的夫婦別氏制度の導入等の民法改正等に関し、「 司法の判断も踏まえ、検討を進める。」としている。
2015年12月の第1次別姓訴訟の判決文において、最高裁判所は夫婦同姓を定めた民法第750条の規定を合憲としな がらも、「この種の制度の在り方は、国会で論ぜられ、 判断されるべき事柄にほかならない」と、 民法の見直しを国会に委ねた。しかしながら、 今日に至るまで国会審議は進んでいない状況にある。
同判決文では、「婚姻によって氏を改める者にとって、そのことによりいわゆるアイデンティティの喪失感を抱いたり、 婚姻前の氏を使用する中で形成してきた個人の社会的な信用、 評価、 名誉感情等を維持することが困難になったりするなどの不利益を受 ける場合があることは否定できない。」、「氏の選択に関し、 夫の氏を選択する夫婦が圧倒的多数を占めている現状からすれば、 妻となる女性が上記の不利益を受ける場合が多い状況が生じている ものと推認できる。」としており、 選択的夫婦別姓制度について最高裁判決の趣旨を踏まえた適切な法 的選択肢を用意することは、国会及び政府の責務であると考える。
よって西東京市議会は、国会及び政府に対し、民法を改正し、選択的夫婦別姓制度を法制化することを求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成31年3月27日
西東京市議会議長 田 中 のりあき
提出先 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、法務大臣
意見書を作成してくださった議員の皆様、また委員会や本会議で賛成の意見を述べてくださった、また、賛成してくださった議員の皆様本当にありがとうございました。また、初めての陳情をサポートしてくださった藤田議員には大変感謝しております。本当にどうもありがとうございました。
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