研究学園都市つくば市で、選択的夫婦別姓制度の導入を求める請願書・意見書が採択!

選択的夫婦別姓ニュース
つくばの街並み(いばらきフォトダウンロードより)

2019320日、茨城県つくば市議会本会議で「選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書を国に提出することを求める請願書」が採択されました。公明党山本美和議員とつくば・市民ネットワーク北口ひとみ議員が紹介議員となってくださり、賛成多数で可決されました。反対は6名のみでした。(議決結果及び議員別表決結果

 

請願書

請願の全文は以下の通りです。

〇請願趣旨

2018年2月に内閣府が公表した世論調査では、夫婦同姓も夫婦別姓も選べる選択的夫婦別姓制度の導入に賛成・容認と答えた国民は66.9%となり、反対の29.3%を大きく上回ったことが明らかになりました。特に多くの人が初婚を迎える30~39歳における賛成・容認の割合は84.4%にのぼります。

また同年3月20日の衆議院法務委員会において、夫婦同姓を義務づけている国は、世界で日本だけであることを法務省が答弁致しました。1996年2月26日に法制審議会が民法改正を答申してから22年が経過しましたが、いまだ選択的夫婦別姓制度を導入する法改正の見通しは立っておりません。

最高裁判所は2015年12月16日に、夫婦同姓規定を合憲とする一方「選択肢が設けられていないことの不合理」については、裁判では見出すことは困難とされ、「国民的議論」や「民主主義的なプロセス」により検討されるべきであると、民法の見直しを国会に委ねました。しかしながら今日に至るまで議論が進まない状況にあります。

家族の多様化が進む中、旧姓を通称使用する人や事実婚を選択するカップルも少なくありません。改姓によってこれまで築き上げたキャリアに分断が生じる例や結婚を諦めるなど不都合をこうむる人が一定数いることも事実です。選択的夫婦別姓については、最高裁判決の趣旨を踏まえ、適切な法的選択肢を用意することは、国会及び政府の責務であると考えます。実際つくばには研究者や医師等の資格職者が多く、夫婦別姓の選択を望む声が増えています。

以上の理由から、国の関係機関への選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書をつくば市議会として国に提出することを請願致します。

 

〇請願事項

選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書を、つくば市議会から国へ提出すること

研究学園都市つくば市の研究者からの訴え

つくば市は研究学園都市であり、日本有数の研究機関が集まっています。

つくばの街並み(つくば市) 筑波研究学園都市は、昭和38年に国家プロジェクトとして開発が開始されました。現在、筑波研究学園都市は、産業技術総合研究所や筑波宇宙センター、筑波大学などの32の研究・教育機関をはじめ、多くの民間研究所などが立地し、2万人を超える研究者を擁する我が国最大の研究開発拠点となっています。 (TOP画像ともにいばらきフォトダウンロードより)

近年、結婚・出産後も活躍する女性研究者が増えており、大学院生・研究生・非常勤講師等の頃から名乗っていた旧姓を使い続ける方が増えています。

研究者にとって姓名は重要です。これは、男性であっても女性であっても同様です。研究者は、世界中の不特定多数の人々から、姓名によってその業績・論文を評価・参照されます。インターネットによる論文検索が主流である現在において、姓名が変わることで検索結果から漏れることは、結果として業績・論文が評価・参照対象から外れる要因となります。ほぼすべての論文で、旧姓を統一的に使用できたとしても、学籍名(通常は戸籍名)が記載される学位論文だけは戸籍姓が強制される場合があり、この結果、学位論文のみ他の論文とは姓名が異なってしまいます。さらには、夫婦別姓が制度として確立している国際学会等においては、研究者としての姓名とパスポート等の身分証明書の姓名が異なるという事情が理解されにくい場合があります。

参考資料:女子SPA「夫婦別姓を選べないことが仕事の足かせに…離婚・再婚を繰り返す人も

このようにつくば市ならではの具体的な事例を強調した上で、「世界の明日が見えるまちつくば」というスローガンのもと、国際的な都市を目指すつくば市にとって、日本を除く世界各国が取り入れている選択的夫婦別姓に賛同しない理由はありませんでした。

選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書国へ

つくば市議会本会では、併せて国会へ提出する意見書案も採択されました。提出者である皆川幸枝議員が意見書全文を読み上げました。賛成者にはヘイズ・ジョン議員も、自民党系会派から唯一、名を連ねています。カナダ出身の同議員は2008年以降3期目で、2016年の選挙ではトップ当選を果たしている議員です。

選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書

全文は以下のとおりです。

意見書案第1号

選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書

上記の意見書案を次のとおり提出します。

平成31年3月20日

提出者 つくば市議会議員 皆 川 幸 枝

賛成者 つくば市議会議員 ヘイズ ジョン

〃  浜 中 勝 美

〃 大久保 勝 弘

〃  滝 口 隆 一

選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書

 2018年2月に内閣府が公表した世論調査では、夫婦同姓も夫婦別姓も選べる選択 的夫婦別姓制度の導入に賛成・容認と答えた国民は66.9%となり、反対の29.3%を 大きく上回ったことが明らかになった。特に多くの人が初婚を迎える30~39歳にお ける賛成・容認の割合は84.4%に上る。

 また、同年3月20日の衆議院法務委員会において、夫婦同姓を義務付けている国 は、世界で日本だけであることを法務省が答弁した。1996年2月26日に法制審議会 が民法改正を答申してから22年が経過したが、いまだ選択的夫婦別姓制度を導入す る法改正の見通しは立っていない。

 最高裁判所は2015年12月16日に、夫婦同姓規定を合憲とする一方、「選択肢が設け られていないことの不合理」については、裁判では見出すことは困難とされ、「国民 的議論」や「民主主義的なプロセス」により検討されるべきであると、民法の見直 しを国会に委ねた。しかしながら、今日に至るまで議論が進まない状況にある。家 族の多様化が進む中、旧姓を通称使用する人や、事実婚を選択するカップルも少な くない。改姓によってこれまで築き上げたキャリアに分断が生じる例や、結婚を諦 めるなど不都合を被る人が一定数いることも事実である。選択的夫婦別姓について は、最高裁判決の趣旨を踏まえ、適切な法的選択肢を用意することは、国会及び政 府の責務であると考える。

 よって、つくば市議会は国会及び政府に対し、民法を改正し、選択的夫婦別姓制度 を法制化することを求める。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成31年3月20日

つくば市議会

(提出先)

内閣総理大臣

衆議院議長

参議院議長

法務大臣

 

「家制度を守る…」驚きの反対論を、賛成議員たちが次々論破

(以下事務局より)

意見書採択の様子が後日、動画で公開されました。

起立採択の様子。賛成多数で意見書が採択された

その中で反対討論に立ったのが黒田健祐議員。

  1. 「意見書で述べられている世論調査で『容認』とされた24.4%は、夫婦同姓制度を支持する数であり、『容認』とするのは不適切」
  2. 「家制度を守る保守の立場から、選択的夫婦別姓に反対」

の2点において反対意見を述べました。

これはまったく見識違いで、見ていて「え??」と驚きました。

1.内閣府の世論調査に会った24.4%の国民の意見とは、こうです。

「夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望していても,夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだが,婚姻によって名字(姓)を改めた人が婚姻前の名字(姓)を通称としてどこでも使えるように法律を改めることについては,かまわない」

これはまさに作花弁護士と青野社長らが起こした訴訟の論点と同じものです。「夫婦が結婚すると民法上は同姓になる。しかし改姓した側が旧姓を名乗り続けたい場合、旧姓には法的根拠がないため、《どこでも》使えない。戸籍姓と通称の使い分けは煩雑で周囲にも混乱を招く。だから戸籍法を改正することで旧姓に法的根拠を与え、《どこでも使えるように法律を改めてほしい》と訴えているのが、このニュー選択的夫婦別姓訴訟です。

24.4%の方々は、自分自身は夫婦は同姓にすべきと考えています。しかし「旧姓使用などで実質的に別姓を名乗りたい」という人の意見は尊重する。つまり、自他の区別がついている方々が、他人の選択を容認しているのです。これを黒田議員は何をどう誤解して、「24.4%は現在の強制的夫婦同姓制度を支持しているものである」と考えたのでしょうか?

2.黒田議員の「家制度を守る保守の立場から…」という言葉。これが議員から発せられたとは、あまりの無知で驚きます。なぜなら家制度は、70年以上前に「差別的である」という理由で廃止された制度だからです。

明治31年、夫婦同姓の規定とともに制定された「家制度」とは、強権を持つ戸主(多くは長男)の支配下に、次男以下の男性や妻子が従属する家父長制で運用された制度でした。財産相続できるのは戸主のみ。戸主以外の構成員は、進学や転居や結婚などを自由意志ではできず、常に戸主の許可が必要でした。妻には子の親権すらなかったのです。このように、個人の権利を制限し、生まれ順や性別によって自動的に家の中での主従関係が決まる制度だったため、戦後すぐ「差別的である」として廃止されました。「嫁入り」「婿入り」などは当時の観念のもので、今の民法にはありません。「家」という概念そのものが、今の民法では存在しないのです。

参考資料:男尊女卑につける薬「選択的夫婦別姓」

日本史上たった49年間しか持続しなかったこの家制度が廃止されたのは昭和22年の民法改正でのことでした。当時の閣議書には、象徴天皇になる前の昭和天皇も署名をしており、国立公文書館のサイトから見ることができます。

黒田議員はこの一言により、「差別的な家制度を(廃止済みにも関わらず)守るべきだ」という、2019年の現代にあってありえない発言をしたのです。

さて動画の続きを見てみると、黒田議員のこの無知に基づく反対意見が、次々論破されていきます。

滝口隆一議員:(黒田議員が指摘した24.4%について)「法律的な制度を作ることによって、実質上の夫婦別姓を認めるということ。法律まで作るとなれば《容認》だ」

(家制度を守る保守の立場について)「家族というものを《規範》とした保守の考え方を、どうして今の憲法下で国民に押し付けるのか? 今の憲法は、個人の民主主義を大事にしたものだ。保守だからといって憲法を蔑ろにしてしていいはずはない」

高野文男議員:「日本の文化や伝統という言葉が先ほどから議会で出ているが、これはあくまで(姓ではなく)家族というもののあり方が日本の伝統・文化なのだと思う。夫と妻があり、それぞれの両親を愛し敬い、子どもがいて…といった《家族がみんな一つになれるよう努力をすること》が日本の伝統・文化だ。同姓・別姓を選択できる中から、また新たな文化が生まれてくるのだろう。一概に(選択できることに)反対ではなく、そういうこともあっていいと私は考えている」

こうして、私達の請願から生まれた意見書は、21:6の圧倒的大差で採択されました。2万人の研究者を抱えるつくば市で、改姓の不利益に苦しむ多くの人たちを救えと国に物申してくださった賛成議員の皆様に、改めて感謝を申し上げます。