2019年6月30日にドワンゴとYahoo!が共催、Twitter Japan協力のもと、「参院選2019 ネット党首討論」が開催されました。そこで安倍首相が「選択的夫婦別姓は経済成長と関わりがない」と発言し、話題になっています。私は「安倍首相はもしや自国の状況を正しく把握されていないのでは…?」と心配になってしまいました。あまりにも現状とかけ離れているように感じたからです。
党首討論での発言おさらい
まずはどのような発言だったのか見てみましょう。
立憲民主党 枝野幸男代表
「人口減少社会である日本においては、多様な、今まで労働マーケットの中で活躍できなかった方に、ますます活躍をしていただかなければならないと思っています。特に女性の経済分野も含めた社会参画が重要ですが、その社会参画を妨害している大きな要因は、日本が結婚したら同じ氏を名乗るということを強制されていることです。選択的夫婦別姓は、女性の社会参画のために不可欠だと思いますが、安倍総裁のご意見を伺いたいと思います」
自由民主党 安倍晋三総裁
「社会参画のために不可欠だという風におっしゃったんですが、この6年間で250万人の女性が働き始めました。いまや、25歳以上のすべての世代で女性の就業率は、あのアメリカを、上回っております。そして男女間の、収入の格差も、一番、短く、えー小さくなって、きています。いわば夫婦別姓の問題ではなくて、しっかりと経済を成長させ、みんなが活躍できる社会を作っていくことではないかと思っています」
司会(夏野剛氏/慶應義塾大学大学院制作・メディア研究科特別招聘教授)
「選択性の夫婦別姓制度は要らない、というご返答でよろしいでしょうか」
安倍総裁
「あの、我々はいわば、経済成長とは関わりがない、という風に考えています」
(ここで持ち時間終了)
人権の問題を、経済の面のみで捉えることの残念さ
選択的夫婦別姓は、「“女性の”社会参画のために不可欠では?」という問いへの答えが「選択的夫婦別姓は、経済成長と関連がない」。ということは…?
「女性にも、男性のように生まれ持った氏名で生きられるように選択肢を与えたところで、それ、国として儲からないじゃん」
ということになります。
人口の半数を占める女性たちの尊厳の問題について、首相が“経済”の軸のみで返したことに、違和感を感じました。“生産性”の話題が頭をよぎったのは私だけではないでしょう。
なお、「生まれ持った氏名」を変えずにそのまま名乗り、呼ばれることは、最高裁でも認められた人格権です (最高裁判例1988年2月16日 民集42巻2号27頁)。喜んで改姓したならともかく、自分の生まれ持った名前を強制的に変えさせられることは、社会生活上、個人の尊厳上、仕事上のトラブルや苦痛を引き起こす。だから男性優位の日本社会では、既婚男性の96%は妻に譲ってもらい、改姓せず結婚しているのです。
そして、日本と同じく夫婦同姓を義務付けていた国が次々法改正をしたのは、この不均衡を少しでも是正するためです。
女性は半数以上が「非正規雇用」という現実
休業中や学生バイトも入れた数字で「活躍」といえるのか
次に安倍首相が党首討論で述べた数字に疑問が残り、調べました。「この6年間で250万人の女性が働き始め、25歳以上のすべての世代で女性の就業率は、あのアメリカを、上回っている」という点です。
確かに「女性就業率が7割を超えた」という統計は2018年秋、ニュースになりました。
しかし楽天証券の分析をはじめとする各種データからは、「アメリカを上回った」という数字の本質が見えてきます。
「女性就業率が初の7割台」の裏にある実態
- 労働力調査の「就業状態」とは、1時間でもアルバイトをすれば、学生や主婦も就業者に該当する。
- 産休・育休・病気や怪我、心疾患による休業者が就業者に含まれる。
- 労働力調査の詳細集計「非正規の仕事についた主な理由」によると、男女ともに「自分の都合のよい時間帯に働きたいから」が1位ですが、女性の2位、3位は、「家計の補助・学費などを得たいから」、「家事・育児・介護等と両立しやすいから」。家庭の事情で非正規を選ばざるを得ない状況が表れている。
- データブック国際労働比較2018では、日本人女性の就業者のうち短時間労働者(労働時間が週30時間未満の者)の割合は37.1%と高く、アメリカ女性17.6%の2倍以上。
- 管理職に占める女性の割合でも、アメリカは43.8%に対し、日本は12.9%。
さらに2019年2月に公表された2018年の政府統計では、現在の企業における「正規・非正規」の職員・従業員の男女別人口は以下。
- 男性の正規は2347万人、非正規は669万人(非正規は22.2%=4人に1人以下)
- 女性の正規は1138万人、非正規は1451万人(非正規は56%=半数以上)
つまり「本当は学業に専念したいものの学費や生活費が苦しく、居酒屋バイトをする女子学生」「苦しい家計の足しにと、週に数時間だけ配達のバイトをする主婦」などもひっくるめて、安倍首相が述べた「アメリカよりも高い女性の就業率」に含まれているのです。
さらに「職場ストレスで鬱になり長期休業」などの女性たちまでカウントされていては、安倍首相のコメントにあった「経済を成長させ、みんなが活躍できる社会」とは、まったくかけ離れているのではないでしょうか。
「日本の女性労働力が男性並みに上昇すれば、GDPは16%上昇する」
また、日本は未だ結婚・出産・子育てが仕事継続の障壁となり、労働力率でみると30歳前後でM字の谷ができてしまっています。政府統計を見ても分かる通り、これは多くの先進国ではとうに解消済みの問題です。
出典:内閣府「主要国における女性の年齢階級労働力率」
アメリカのヒラリー・クリントン氏が2011年、ゴールドマンサックスの調査をスピーチで紹介した記録も、内閣府経済社会総合研究所サイトに掲載されています。
「日本の女性労働力が男性並みに上昇すれば、GDPは16%上昇する」
つまり女性が働きやすい環境を整えれば「経済成長につながる」という指摘です。
出典:内閣府経済社会総合研究所「女性活躍推進の経済効果(経済における女性の活躍に関する共同セミナー)」
OECD調査で「日本女性の活躍度」は先進国でも最低レベル
実際のデータで、日本女性の“活躍”っぷりを、各国と比較してみましょう。
安倍首相は党首討論で「男女間の収入の格差も、一番短く、小さくなってきている」と発言されました。たしかに先の東京オリンピックが開催された1964年当時、女性の賃金は男性の半分程度だったことを考えると、2017年は約7割と徐々に改善していっています(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」)。しかし世界基準ではどうでしょう?
男女賃金格差のひどさは、OECD加盟国ワースト3。これはOECD東京センターが国際女性デーに寄せて、Twitterでも紹介してくれています。
【本日3月8日は #国際女性デー 】
— OECD東京センター (@OECDTokyo) 2019年3月7日
日本は男女間の賃金格差👛がOECD加盟国の中で3️⃣番目に大きい国です。
これは男性👨 の正規雇用率が女性👩より高く、雇用主が提供する研修制度や福利厚生をより多く利用でき、年齢や勤続年数に応じて賃金が上昇することと関連しています。https://t.co/p59Z4VhBSp
昨年東京女子医大の入試差別問題で話題になりましたが、OECD(経済協力開発機構)諸国との比較から「日本の女性活躍の状況」を見ていきましょう。OECDには現在、先進36カ国が加盟しています。この記事も参考になりますね。
「医師における女性比率」はOECD諸国ワースト1
東京女子医大の入試差別を発端に話題になりましたが、やはり実情はこのような状況です。2019年入試から不正を排除したら、医学部女子合格率は男子を超えたそう。
「国会議員における女性の割合」もワースト1
「女性裁判官の割合」はダントツで!日本ワースト1
最高裁の女性判事が9年ぶりにたった1人になったことが2月に報じられました。
OECD Government at a Glance – 2017 edition : Share of professional judges that are women
日本「20%」でワースト1であることがわかります。30%を切る国は他にない…。(ラトビアは女性医師の割合もNo.1ですが、裁判官でも77%とベスト2。ベスト1はスロベニアの78%でした。逆にすごい!)
「上場企業における女性役員の割合」はワースト2
OECD Female share of seats on boards of the largest publicly listed companies
日本は「5.3%」でワースト2でした。ちなみに国際労働機関(ILO)の調べでは、日本の管理職に占める女性の割合は堂々G7ワースト1です。ここでは上場企業に限らずなので、12%となっていました。
あまりにおそまつすぎて、落ち込んできます。
爆速で進む少子化の要因の一つが「強制的夫婦同姓」
「経済的成長」といえば、少子化と切り離すことのできない議題です。
4月27日の日本テレビ「世界一受けたい授業」で社会学者の古市憲寿氏が指摘したとおり、「子どもが増えれば景気が良くなる、将来の労働人口、消費者が増える」のですから当然、経済成長につながります。
日本の労働人口は6,600万人。しかし30年後には、少子高齢化の影響で4,400万人まで減少するという予想があります。「記事から読み解く『夫婦同姓の強制』と『少子化』の関連性」でも触れましたが、日本はいま、着々と少子高齢化に向かっています。総務省が今年公表した数字では、14歳以下の人口は1533万人と前年より18万人減り、比較可能な1950年以降、過去最少を更新。減少は38年連続とのことです。
その背景には、日本が世界で唯一、夫婦同姓を全国民に義務付けているという要因も大きいとみられています。
改姓の不利益を受けないためには破談か事実婚しかない
初婚年齢は現在、男女とも30歳前後。男女ともに個人名で信用・実績・資産を積んできたにもかかわらず、いざ結婚するとなると必ず片方が「社会的に一度死に、以後別人として生きる」ことを強いられるのが今の日本。膨大な手続きに追われた結果、仕事の実績を継続できず、人によっては自己喪失感を抱きます。社会的に活躍している人ほど、これは罰ゲームでしかありません。
少子化により一人っ子が増えている昨今、カップルの双方とも生まれ持った氏名を変えたくなく、破談に至るケースも増加。このことが非婚率の上昇を底上げする要因の一つであるといわれています(もちろん、仕事と家庭の両立が難しい日本型長時間労働、男女格差が改善されないことなども大きな要因です)。
別れるまではいかなくとも、次なる選択肢は婚姻届を提出しない=法的保障のない「事実婚」です。政府は事実婚の実数を調べない形で国勢調査を行っていますが、総務省の2010年調査によれば「非親族の男女同居の者(20歳以上)」は60万人ほど。未婚が 46 万 5 千人(「非親族の男女同居の者」全体の 76.7%)と全体の4分の3を超えており、直近5年間で2割以上増加したとのこと。
また国民生活白書によれば、事実婚女性の実に89.3%が「事実婚を選んだ」として「夫婦別姓を通すため」と答えています。このことからも、夫婦別姓を認めさえすれば、多くのカップルが法律婚できることは明らかです。
出典:内閣府 平成17年国民生活白書データをもとに作図した画像をYahoo!不動産記事より転載
法律婚できないことは少子化に直結している
破談や事実婚、つまり法的に結婚できない状況を国民が強いられたままでは、次に起こるのは少子化です。OECD(経済協力開発機構)に加盟する先進各国の中でも、日本は群を抜いて婚外子(法律婚していないカップルから生まれた子ども)の割合が低く、わずか2.3%です。
Increased share of births outside #marriage in most OECD c’tries. See latest family #stats https://t.co/P9WCWNRXkH pic.twitter.com/WYpXG6xgDb
— OECD Social (@OECD_Social) May 17, 2016
少子化の影に「結婚しないと産んではならない」プレッシャー
日本はつい数年前まで、非嫡出子が相続する遺産を、嫡出子より低く抑えるような差別が合法的に行われていたのをご記憶の方も多いでしょう。いまだに結婚せずに子どもを産むことに「けじめがなっていない」と偏見を持たれることが多く、現政権ですら、未婚ひとり親に寡婦控除を適用することに「未婚の出産を助長する」「伝統的な家族観にそぐわない」と反対するような「アンチ“未婚出産”」圧力がかなり激しい国なのです。
「では選択的夫婦別姓を認め、少しでも結婚しやすくすればいいのに」「夫婦同姓がいい人は選べるのだから…」と思いきや、ここでもまた「伝統的な家族観にそぐわない」と反対論が立ちはだかります。1996年に法制審議会の答申まで行った法改正が20年以上、暗礁に乗り上げている所以です。
自民党の中に選択的夫婦別姓賛成の議員が多いことはこの記事やこの記事の通り。私自身も自民議員から何人も賛成論を聞いています。
しかし党全体で発するメッセージはと言うと相変わらず「伝統的家族観(以下略)」。生まれ持った名前同士で結婚することも許さず、かといって結婚しないまま子を持つことも許さない。このままでは幸せになれるはずのカップルが法的な家族になれず、今後も“スムーズに少子化が進む”こと間違いなしです。
ある自民議員は「伝統守って国滅びたらどうするんだ」とおっしゃっていましたけど、本当にそのとおりです。
国が女性たちに「産め」といくら言っても産まないんです。できるのは国が産みたくなる環境を整えることだけ。選択的夫婦別姓しかり。保育園、柔軟な働き方、性別問わない家事育児分担の推進しかり。政治ができることたくさんあるじゃないですか。なぜ速やかにやらないの?という疑問だけが残ります。
政治家のこんな発言を聞いて、「産みたい!」と誰が思うのでしょう?
「服の裾思いっきり引っ張りながら『進めー!』と言ってるようなもの」
選択的夫婦別姓すら認めずに「女性活躍」を掲げる国に対して、社会派YouTuberとして人気の芸人「せやろがいおじさん」はこんな一言を。
「服の裾思いっきり引っ張りながら「進めー!」と言ってるようなもの」
本当にそのとおり!この動画は選択的夫婦別姓をものすごくわかりやすく解説しているので、ぜひ見てみてください。
公私ともに一つの名前なら、女性はもっと活躍できる
一方、選択的夫婦別姓が整備されれば、旧姓の通称使用などせずとも、一人一つの名前で生きることができるようになります。改姓を望むなら、結婚後は変えた名字に。改姓を望まない場合、現在の96%の既婚男性と同じく、既婚女性たちも名義変更が不要になります。
選択的夫婦別姓は、明らかに女性たちの活躍を促進します。
多くの研究者たちが改姓による実績、資格名義の分断を免れます。
将来の研究者のたまごである「リケジョ」達のためにも
sach 茨城県つくば市 30代 研究者
つくば市の研究機関に勤めています。
研究者にとって姓名は重要です。これは、男性であっても女性であっても同様です。研究者は、世界中の不特定多数の人々から、姓名によってその業績・論文を評価・参照されます。インターネットによる論文検索が主流である現在において、姓名が変わることで検索結果から漏れることは、結果として業績・論文が評価・参照対象から外れる要因となります。ほぼすべての論文で、旧姓を統一的に使用できたとしても、学籍名(通常は戸籍名)が記載される学位論文だけは戸籍姓が強制される場合があり、この結果、学位論文のみ他の論文とは姓名が異なってしまいます。さらには、夫婦別姓が制度として確立している国際学会等においては、研究者としての姓名とパスポート等の身分証明書の姓名が異なるという事情が理解されにくい場合があります。
研究機関によっては旧姓を継続できる場合が増えていますが、上記のような課題に加えて、国家資格の利用や特許の取得、転職等で同一人物であるにも関わらず、旧姓名と改姓名の混在が発生する場合があります。
研究者の姓が変われば改姓前の実績がなくなる、混在するなど不利益を被る
名無しさん 女性 20代
研究者を目指す女です。研究者にとって、実績には姓名が伴います。姓が変われば、姓を変更する前の実績がなくなる、混在するなど不利益を被ります。
また、通称使用では海外学会や、海外で活躍する際にパスポートの手続き、申請書類等で混乱が生じることも多いようです。
今後、女性の研究者も増えることが予想されます。彼女らの未来のためにも選択的夫婦別姓の法的承認を希望します。
海外で「旧姓のダブルネームは犯罪的行為」と指摘され、国際的信用を失うことはなくなるでしょう。こちらは実際、オーストラリア当局から「2つの名前を使うことは別人になりすましている」と指摘を受けた研究者による、裁判での陳述内容です。
会社という後ろ盾がなくても、特許出願や研究発表を自分の氏名でできるようになり、プライバシーの侵害も減ります。
特許出願や研究発表に使う通称(旧姓)は、会社という後ろ盾がなければ保証されない
上水流 由香 東京都西東京市 女性 50代
結婚で改姓し、職場では旧姓を利用していますが、選択的夫婦別姓を強く望んでいます。
ある程度のキャリアを積んだタイミングでの結婚では、男女問わず、名前を変えることは仕事の上で大きなデメリットとなるため、今の法律では夫婦どちらかが旧姓を通称として使わざるを得ません。私は技術開発の仕事をしており、特許出願や研究発表には通称(旧姓)を使っていますが、会社という後ろ盾がなければ保証されない通称を使っていることに違和感を感じています。また転職を希望する場合に、旧姓で積み上げたキャリアを継続するためには、旧姓利用を許可する組織を転職先として選択することになるため、転職先の選択肢が少なくなります。また通称(旧姓)利用を許可する組織では、戸籍名と通称の突合や管理のために、余計な業務が発生しています。
社会生活を送る上で、改姓により結婚や離婚が容易に第三者に分かってしまうことも、プライバシー上の大きな問題です。
改姓手続きで本人、経理担当、銀行担当とも余計な手続きコストを負うこともありません。
事実婚のデメリットを防ぐため、公正証書や遺言書に数十万円使うカップルもいなくなります。
法人代表として、女性も男性と同じく、自分の名前を登記できます。
不動産を買うときも難なく夫と共同名義にすることが可能です。
事実婚では不動産を共同名義にできない、遺産相続権がお互いにない、子供の共同親権がない
嶺崎寛子 女性 40代
研究者のカップルです。仕事上、改姓が不利になるため事実婚です。旧姓で発表した仕事と今の仕事との一貫性が見えなくなると、別人だと誤解され、旧姓の発表を盗用しているのではないか、似たような研究はすでに旧姓さん(それ私です、その研究をしたのもそれを今応用しているのも私です)がやってるのになぜあなたが今からやるのか、などと無駄な誤解が生じて一ミリも良いことがありません。よく言われる「子供がかわいそう」ですが、二人の子供たちは全く不便を感じてないそうです(確認済み)。家を買うときに共同名義にできないのと、遺産相続権がお互いにないこと、そして子供の共同親権がないこと、この3点はとても不便です。
銀行、病院、保険、家の購入、納税、NISAも自分の氏名で手続きが可能になります。
銀行、病院、保険、家の購入、納税、NISAも旧姓不可
のりさん 女性 50代
氏名というのは、自分で名乗り、他人に呼ばれ、40年近く自他ともに私を表すものとして確立している私自身です。40年近い私の人生と一体のものでした。
職場では旧姓使用中ですが、配布物を配っていた人に「探しちゃったよ!本当の名前は[戸籍名]さんなのね」といわれました。私にとって”本当”の名前=[旧姓]なのに、嘘の名前にされてしまう哀しさ。哀しみながらも「面倒をかけてごめんなさい」と謝らなければならない気持ち。「通称が広く一般に使われていて不都合はないはず」というのはなったことがない人のセリフです。実際は不都合だらけです。職場は旧姓使用許可となっていますがメールアドレスと名刺のみで、給与関係、健康保険関係の配布物は全て[戸籍名]、首から下げる社員証も[戸籍名]、座席表も人事異動通知も[戸籍名]。こんな内容でもアンケートでは”旧姓使用許可している会社”です。
(ほとんどの)女性が結婚・離婚すると、氏名変更の理由により人事異動表で全社員が知る所になります。しかし(ほとんどの)男性が結婚・離婚しても自分で知らせない限り周りが知ることはありません。結婚はいいかもしれません。でもたいていの場合離婚を全社員に知らせたいと思う人はいないのではないでしょうか。
銀行だって病院だって旧姓不可。がんばって家を買っても自分の名前(旧姓)での登記は不可。話題のふるさと納税もNISAも保険も自分の名前(旧姓)ではできません。やりたくても使いたくない氏名の名義が増えるのが嫌で躊躇しています。
資格や表彰など、大事な実績を自分が自分のままで引き継げます。
自らの名前で受けた資格や表彰。結婚後の姓に変えられると実績を否定された気持ちになる
関根小夜子 東京都杉並区 女性 50代
これまで慣れ親しんできた名前で29年間働き続けているのに、努力して取得し資格試験の成果は普段全く使用しない結婚した姓に替えられたり、仕事での永年勤続表彰等も戸籍名を使用される等の状況は、自分のこれまでの実績を全て否定された気持ちになります。
・同じ名前を継続して使用できないことは、誰かを特定することができなくなり、名前のもつ本来の目的を達成できず、特に仕事上は大いに不利益です。
・互いに個人の意志で結婚したはずなのに、夫婦同姓を強いられることは、「家」の制度に囚われており現代的でないです。
・夫婦同姓でないと住宅手当等の不利益を生じるというのは、改正に対する「強制」に近いと感じます。自らの姓も選べないような国に女性の活躍の土壌はあるでしょうか。
つまりは女性がもっと活躍できて、経済成長につながるのは明らかです。
安倍首相、自民党の皆さん。もう潮時です。服の裾踏むのをもうやめて、速やかに法改正してください。
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