124人中101人賛成!東京都議会本会議で請願が採択


2019年6月19日、私が選択的夫婦別姓・全国陳情アクション事務局長として提出した「選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書の提出に関する請願」が、東京都議会本会議で賛成多数により採択されました。意見書の文案は次の委員会にて審議されます。

以下に都から郵送されてきた採択の結果と併せ、請願の全文を掲載します。

これは文京区議会で2019年3月に全会一致採択された請願の文面を元にしています。「せっかく首都から国に届けるなら、ここはしっかり『法制化を求める』でいこう」と、この文面に決めました。

「地元から声を上げる」ことで党を超えた賛同に

選択的夫婦別姓・全国陳情アクションは2018年8月、Twitterで繋がった仲間と中野区で陳情を出したことから始まった活動です。きっかけは、地元選出の議員に相談したことでした。

私たちのたちの困りごとを聞いて、「いろいろなところから声をあげなさい」とアドバイスしてくださったのは、地元選出の松本文明衆議院議員でした。陳情の出し方を教えてくださったのは地元・中野区議会の自民党議員さんたち。そして採択には公明党、立憲民主党、共産党、生活者ネットワーク、都民ファーストの会、無所属、あらゆる会派の議員さんたちが賛成してくれました。

「夫婦別姓問題は生活上の困りごと」地方議会に働きかけ、意見書可決の流れ - 弁護士ドットコムニュース
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そして今回、この都議会での請願採択に動いてくださったのもまた、地元・中野区選出の高倉良生都議(公明党)、荒木ちはる都議(都民ファーストの会)でしたし、西沢けいた都議(立憲民主党)も「思いは一つです」と応援してくださいました。

「政治活動経験ゼロの一介の会社員でも、地元から声を上げることは無駄ではなかった」。そう思わせてくれた議員さんたちに、深く感謝しています。

100名を超える議員さんが「賛成」を示す起立をしてくださったのを見たとき、涙が出そうになりました(議場の中ではスマホでの写真撮影はNG。でもなぜか「カメラならOK」の謎…。以下はメンバーがスクショしてくれたライブ中継の画面です)。

都議会議員さんにいただいた声

「応援します。これからの日本には必要なことだから」

「この話初めて聞いたけど、これ、すぐやらなきゃいけないね。だから必要なんだ、あー聞いてよかった」

「私、めちゃめちゃ賛成ですよ!今まで導入されていなかった方がおかしいんですよ」

「みんな、もう論理的に反対できないとわかっているんです。選択制に反対する理由なんてないから。でも『保守の支持層に支えられてきたから票は失いたくない。自分は反対したんだと、あとで支持層に言えるようにポーズだけでも取らせてほしい』という議員もいるんですよね…こういう人を説得しなきゃいけない」

「私も旧姓で仕事してます!もうほんとに、今すぐにでも導入されてほしい」

「日本だけ残ってて恥ずかしい。東京は日本一働く女性が多い自治体なのに」

「やって当たり前の話です。党をまとめますから、少し待っててほしい」

半年間、私の訴えを聞いて、こんなふうに励ましてくださった多くの議員さんが目の前で起立してくださっていました。彼らの背中に「ありがとうございましたーーー!( TДT)」と心の中で、大声で叫びました(傍聴券をもらう時に、拍手も発声もダメと言われていたので。なのに議員さん同士はヤジが意外とすごくてびっくり…そこはいいのか…)。

都議会は「自民だけ反対」でも、他地域では広がる協力

さて、今回「自民党だけ反対」が大きくクローズアップされました。「都議会は最近、特殊事情があるからね…」と多くの人に言われましたし、「当然」と見る向きもあるでしょう。しかし当然ではありません。過去の会派間のいきさつは、今回の願意にまったく無関係です。イデオロギーの話ではありません。都民の生活上の困りごとの話なのですから。

請願者として議員に面談を申し入れ、断られたことはほぼありませんでした。しかし今回、都議会自民党は幹部12人から数ヵ月間、メールやFAXへの無視が続き、留守電も折り返しなし。委員会採択数日前に党の控室にお電話差し上げたところ「都議会自民党としてお会いできない。会議で決まったため」「会うと回答していた議員も、そんなわけで、会わないそうです」と言われた時は、さすがに驚きました。そして本会議採択前に電話をかけた時も、政調会から同じく「都議会自民党として会わない」との回答だったのです。

会派内にも旧姓でお仕事をされている議員さんがいます。実質的に夫婦別姓で働く必要性を感じているから、旧姓の通称使用をされているはず。その方はどう思っておられるのだろう…。地元有権者の声を直接聞くことすら断って、なぜ反対をされたのか。理由は議員さんに直接聞けていないため、疑問が残ったままです。

ちなみに反対する人たちの最も大きな要因は「知識不足」です。当事者の困りごとをまったく聞いたことがなく理解できていなかったり、「選択的」の意味を抜かして理解していたり、「子どもが困る」「絆がバラバラに」など、別姓家庭の実情とはかけ離れたイメージのみで反対をしていたり…。「昭和22年に家制度は廃止済み」「結婚改姓していても相続は可能」といった自国の法律をご存じない議員さんも少なくありません。議会の討論でうっかり知識不足を開陳せずに済むよう、できる限り事前に勉強会を開き、解説させていただいています。

「誰の権利も奪わず、結婚できる幸せなカップルが増えるだけ」「生涯自分の氏名で生きる人が増える分だけ、社会的コストもかからなくなっていく」という点がしっかり理解できていれば、選択制の導入に反対するポイントはないはずなのです。

一方、全国に目を向けてみると、自民党議員さんの賛同はどんどん広がっています。

前出の通り、自民党区議団が主導で意見書を採択してくださった東京都・文京区、同じく全会一致の北海道・幕別町、あるいは自民議員も採択に賛同いただいた三重県議会西東京市茨城県取手市、更に踏み込んで意見書の「賛成議員」に名を連ねてくださった茨城県つくば市をはじめ、法改正に向けて多くの自民党議員さんが賛同してくださっていることも、知っていただけたらと思います。

都議会では、次の定例会で意見書の内容が議論されるとのこと。こちらは全会一致での採択が慣例だそうなので、都議会自民党には引き続き面会を申し入れています。今度こそ、お会いできることを願っています。

旧姓使用では解決にならない。一人一つの名前で生きられる選択肢を

強制的に夫婦どちらか改姓しなければ結婚できないという法律があるのは、世界で日本だけです。2018年3月20日、法務省が国会答弁しています。そしてこれは庶民の生活上の困りごとであると、多くの議員さんたちが理解してくださっているからこそ、日本の首都東京で、100名を超える議員さんが法改正に賛同の意思を示してくださったと思います。

政府は旧姓の通称使用を拡大しようとしていますが、これでは解決になりません。いくら「併記」したとしても、税金や法人登記、株の取引などの法的手続き、論文発表、海外渡航などに支障が出ます。旧姓には法的根拠がないからです。なにより「生まれたときから名乗っている姓を“旧姓”にしたくない。変えたくない」という人にとって、一つも解決策にはならないのです。

私は2度改姓し、「これが自分だ」と思える名前を永遠に失いました。これまで名乗ったどの姓も、偽名のような感覚です。40歳過ぎての改姓手続きは膨大かつあまりに苦痛で仕事でも支障をきたしています。二度と改姓するつもりはありません。それでも、子どもたちの世代には、心から「自分だ」と思える氏名で、パートナーと家庭を持ち、支えあえる日本にしたい。国が「こう生きろ。こう名乗れ」と国民に強いているままでは、結婚できないカップルが増え、少子化が進む一方です。

結婚後は旧姓のままでも、新姓に変えてもいい。ただ「一人一つの氏名で生きられる選択肢をください」。

国会のお膝元・東京都の議会が動いてくれました。一人ひとりが声を上げることできっと、国会も動くと信じています。

都議会での請願採択がたくさんのメディアに取り上げられました!
都議会での「選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書を国に提出することを求める請願」の採択は、ニュースとして数多くのメディアに取り上げられました。 - 産経新聞 - 弁護士ドットコムニュース - 日本経済新聞 -東京新聞 - 中日新聞 - ...